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鈍根
「鈍根〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鈍根の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
を、もう二年越しくふう苦心していたのでござります。なれども、せがれはご覧のような
鈍根のうつけ者、群青色焼き分けは夢おろか、てんからふできな、先に望みもないやつな....
「悟浄歎異」より 著者:中島敦
とくに、必要な途《みち》だけがハッキリ浮かび上がり、他は一切見えないのだ。我々|
鈍根《どんこん》のものがいまだ茫然《ぼうぜん》として考えも纏《まと》まらないうち....
「野分」より 著者:夏目漱石
面目ない。人から土偶《でく》のようにうとまれるのも、このおれを出す機会がなくて、
鈍根《どんこん》にさえ立派に出来る翻訳の下働きなどで日を暮らしているからである。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
慶は説明した。「智心は孤児で十歳のときから当寺に養われて居りますが、生まれつきの
鈍根で、経文なども能く覚えません。それでも正直に働きます。殊に俊乗によく懐いて居....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、神を見ずして筆を執るなぞ無用である、との説に関し、自身の懊悩を述べ、自分の様な
鈍根の者は、一切を抛擲して先ず神を見る可く全力を傾注する勇気が無い、と嘆息して帰....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
自得である。筑後|梁川《やながわ》の藩に大石進という者がある。性質愚に近いほどの
鈍根《どんこん》で、試合に出ては必ず負ける。後輩年下の者にさえさんざんに打ち込ま....
「惜別」より 著者:太宰治
、或いは何か首肯するに足るものに到達できるのではなかろうか、とも思われるのだが、
鈍根の私には、そんなこまかな窮竟はおぼつかない。美女がくるりと一廻転すれば鬼女に....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
論』巻三を見るに僧を羞僧、無羞僧、唖羊僧、実僧の四種に分つ。破戒せずといえども〈
鈍根無慧、好醜を別たず、軽重を知らず、有罪無罪を知らず、もし僧事あるに、二人とも....
「年譜」より 著者:宮本百合子
かの文学評論、批評を執筆した。 執筆 一月。小説「鏡餅」(新潮) 八月。
鈍根録(改造) 十月。ツルゲーネフの生きかた。(文〔化〕集団) 十一月。夫婦が作....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
前には荷が重かろう」 そこへ鹿蔵が疲れきってやってきた。この老巡査は性来至って
鈍根だが、うけた命令は馬鹿ティネイにあくまで果してくるという長所をもっている。昨....
「いわゆる「反省」は我々を救うか」より 著者:岸田国士
万能の神の代りに、立身出世の鬼が口をひろげているのである。 秀才は秀才らしく、
鈍根は
鈍根らしく、己れの反省の正しく、美しくみえんことを、これ努める風情は、まこ....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
た。それからその寺で足掛け十六年、わたしが二十六の年まで修業を積みまして、生来|
鈍根の人間もまず一人並の出家になり済ましたのでござります。」 生来
鈍根と卑下し....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
分に負けるような脆さがある。彼のように鋭敏な才子は、自分の鋭敏さに傷を負うから、
鈍根の人とツリアイがとれてしまうのである。 この晩の七転八倒は言語道断で、 「....
「俳優への手紙」より 著者:三好十郎
生活の方も劇作の仕事も、スラスラと運んでいるとは言えない。窮迫と不如意と、非才と
鈍根に、独り泣くこと、しばしばだ。特に近年、生活と仕事の無理がたたって来て、数日....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
に古人の範疇を脱して、一境地をひらいておったというようなのがいいのでありまして、
鈍根はいくらやるつもりでかかって何もできないで終るのであります。そうでありますか....