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鈍重
「鈍重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鈍重の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
《まげき》の椅子《いす》へ腰を下した。
「うん、待たない事もない。」
ほとんど
鈍重な感じを起させるほど、丸々と肥満した野村は、その太い指の先でちょいと大島の襟....
「或る女」より 著者:有島武郎
して来た。それと共に瞑眩《めまい》を感ずるほどの頭痛をまず覚えた。次いで後腰部に
鈍重な疼《いた》みがむくむくと頭をもたげるのを覚えた。肩は石のように凝っていた。....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
にはいかないが、わりに北方の血を濃く承けていると思う。どっちかといえば、内気な、
鈍重な、感情を表面に表わすことをあまりしない、思想の上でも飛躍的な思想を表わさな....
「片信」より 著者:有島武郎
やっと実行しようというのだ。自分ながら持って生まれた怯懦《きょうだ》と牛のような
鈍重さとにあきれずにはいられない。けれども考えてみると、僕がここまで辿《たど》り....
「星座」より 著者:有島武郎
った。教授は不似合な山高帽子を丁寧《ていねい》に取って、煤《すす》けきったような
鈍重な眼を強度の近眼鏡の後ろから覗かせながら、含羞《はにか》むように、
「ライプ....
「親子」より 著者:有島武郎
か会社銀行とかの理財事務にたずさわっていたけれども、筆算のことにかけては、極度に
鈍重だった。そのために、自分の家の会計を調べる時でも、父はどうかするとちょっとし....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
太く荒々しいあの瘡痕は、明かにナイフその他の金属類に依って与えられたものでなく、
鈍重で粗雑なものであり、且つ又掌中に擦過傷を与えた兇器或は同性質の兇器なる事を暗....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
て来る。でなければ、主義とか理想とかを丸呑み込みにして、それに盲従する単純すぎて
鈍重な眼を輝かす青年が想像されて来る。かの女はまた、かりにピサロの親子間を立派な....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
係があるのじゃないかしら」 「うん、うん、なるほど」 牛丸平太郎は牡牛のような
鈍重な表情でうなずいた。 「それで、どうだろう。チャンウーというのを、ぼくらの手....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
く澄んだ頭をアレギザンドル橋のいかつい装飾とエッフェル塔の太い股を拡げた脚柱とが
鈍重に圧迫する。新吉はそれらを見ないように、眼を伏せて言った。 ――おい後生だか....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
が寡欲になった為、以前の様に濫費しません。 氏は、取り済した花蝶などより、妙に
鈍重な奇形な、昆虫などに興味を持ちます。たとえば、庭の隅から、ちょろちょろと走り....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
、一個所、非常に精鋭な部分があり、あとは使用を閑却されていると言って宜い。無口で
鈍重な逸作が、対社会的な画作に傑出して居るのは、その部分が機敏に働く職能の現れだ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
の怠慢と無感覚より来る所の、単なる受動的状態ではない。刺戟性の酒類を飲みながら、
鈍重な食物で胃腸を充たした時に必ず随伴する、かのうとうとした状態――われ等に取り....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
二人の男達は、ロンドン大学の学生であった。ジョーンの方は人のよさそうな、少し
鈍重な感じがする男であった。彼は真中の女に左腕を組まれて居た。金髪は彼の四角い頭....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
の性質に制せられて兵器の進歩と協調も失うに至った後の横隊戦術は技巧の末節に走り、
鈍重にして脆弱であり、特にその暴露した側面は甚だしい弱点を成形していた。横隊戦術....