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「鉄条網〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄条網の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
将軍」より 著者:芥川竜之介
山腹に倒れていた。そこへ白襷《しろだすき》の兵が一人、何か切れ切れに叫びながら、鉄条網《てつじょうもう》の中を走って来た。彼は戦友の屍骸《しがい》を見ると、その....
渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
そり》や靴に踏みつけられて、固く凍っている。そこへ行くまでに、聯隊《れんたい》の鉄条網が張りめぐらされてあった。彼は、毎晩、その下をくぐりぬけ、氷で辷《すべ》り....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
茫々たる野原である。原には大きい塹壕のあとが幾重にも残っていて、ところどころには鉄条網も絡み合ったままで光っている。立木はほとんどみえない。眼のとどく限りは雛芥....
長篠合戦」より 著者:菊池寛
突撃するのを阻み、武田方のマゴマゴしている所を鉄砲で打ち萎めようと云うのである。鉄条網をこしらえていて、それにひっかかるのを待って機関銃で掃射しようと云う現代の....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
達は、会せた後の泣きごとを面倒がって、会せなかった。 さんぼろさげた工人達は、鉄条網の張られた白楊材置場へまわった。そこの僅かの一部分だけは、トタン塀が張られ....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
ってあったり、爆弾のため赤い地層のあらわれた穴が、ぽかぽかとあいていたり、破れた鉄条網《てつじょうもう》が植えられてあったり。 試験に従事するのは、加瀬谷少佐....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
いることだろう」 そうだ、これは、一刻も早く、東京へ帰らなければならない。彼は鉄条網のような電線の上を躍り越えながら、真青になって駅の方へ駈けだした。 ....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
廃墟で一木一草をとどめず、さまよう犬の影すらもない。四周に板囲いをして、おまけに鉄条網のようなものを張りめぐらし、離れた所に見張所もあったが、唯このために丹波路....
雪のシベリア」より 著者:黒島伝治
、一日、遠く丘を越え、谷を渡り、山に登り、そうして聯隊がつくりつけてある警戒線の鉄条網をくゞりぬけて向うの方に出かけて行きだした。雪は深く、膝から腰にまで達した....
ランス紀行」より 著者:岡本綺堂
茫々たる野原である。原には大きい塹壕のあとが幾重にも残っていて、ところどころには鉄条網も絡み合ったままで光っている。立木は殆どみえない。眼のとどく限りは雛芥子の....
眠る森のお姫さま」より 著者:楠山正雄
木やひくい木が、もっさりと茂りだして、そのあいだには、いばらや草やぶが、びっしり鉄条網のようにからみついてしまいましたから、人間もけだものも、それをくぐってはい....
帝展を見ざるの記」より 著者:寺田寅彦
三の風景画などには、あまりにあらわな眩目的な見せつけ場所や、眼を突くような技巧の鉄条網が邪魔になって私にはどうしても絵の中へ踏み込めなかった。これから思うと例え....
一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
藩王の経営だから採収法が古い。警備も、南阿の諸鉱地とは、てんで比較にならんのだ。鉄条網もない。電気柵もない。南阿じゃ、着物を縫目まで解いて身体検査をするというが....
二階から」より 著者:岡本綺堂
。蜘蛛と私との闘は半月あまりも続いた。 私は少しく根負けの気味になった。いかに鉄条網を突破しても、当の敵の蜘蛛を打ち亡ぼさない限りは、到底最後の勝利は覚束ない....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
もそれは僕の知人なども出征していたためもあるかも知れない。この知人は南山の戦いに鉄条網にかかって戦死してしまった。鉄条網という言葉は今日では誰も知らない者はない....