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「鉄柵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉄柵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
ちへ曲って行った。小みちは要冬青《かなめもち》の生け垣や赤※《あかさび》のふいた鉄柵《てつさく》の中に大小の墓を並べていた。が、いくら先へ行っても、先生のお墓は....
蠅男」より 著者:海野十三
るような陰惨な邸宅だった。 それでも往来に面したところには、赤く錆びてはいるが鉄柵づくりの門があり、それをとおして石段の上に、重い鉄の扉のはまった玄関が見えて....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
る東北側の隅へ歩み寄り、腰を屈めてタイル張りの床を透かして見たり外廓を取り繞ぐる鉄柵の内側に沿う三尺幅の植込みへ手を突込んで、灌木の根元の土を掻き回す様に調べた....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
本で名高い局政岡とは三沢初子のことだそうで、その墓は榴ヶ岡下の孝勝寺にある。墓は鉄柵をめぐらして頗る荘重に見える。 初子は四十八歳で死んだ。かれは伊達|綱宗の....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
階段を上りきった正面には、廊下を置いて、岩乗な防塞を施した一つの室があった。鉄柵扉の後方に数層の石段があって、その奥には、金庫扉らしい黒漆がキラキラ光ってい....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
力の前には一たまりもないはずだ」 といいながら、ケレンコは動物園の猿のように、鉄柵をにぎってゆすぶった。が、ふと前の壁をみて急に気がついたらしく、 「なあんだ....
崩れる鬼影」より 著者:海野十三
「錠がかかっている。面倒だが乗り越えようよ。それッ」 二人はお互に助けあって、鉄柵を飛び越えました。下は湿っぽい土が砂利を噛んでいました。私はツルリと滑って尻....
博物誌」より 著者:岸田国士
。 重たげに有史以前の思想で目方のついている犁牛を見に行ってやりたまえ。麒麟は鉄柵の横木の上から、槍の先につけたような頭を覗かせている。象は猫背を作り、鼻の先....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
で行く。 蘭人居留地があらわれた。駕籠はそっちへ進んで行く。 こうして鉄門と鉄柵とで厳重によろわれた洋館が一行の前へ現われた時、一行は初めて立ち止まった。自....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
追って行った。 鋭い獣の鳴き声は――それは猩々の鳴き声であるが――樹立の彼方、鉄柵の向こうの公園の外の人道から、またもその時間に聞こえて来た。面紗の女とダンチ....
バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
分の財産ででもあるかの如く愛撫の情を含みながら云う。 説明が終った時、つめたい鉄柵を撫でながら私は言った。 『あなたは年がら年中、このブリッジに立って果しもな....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
だという話だった。景子は此の話を宮坂にしながら塀に沿って進むと道は頑固な丈の高い鉄柵に突き当り左へ屈曲する。其処で景子は其の鉄柵の中の別荘風の建物を指して之れが....
バットクラス」より 著者:岡本かの子
部屋のカーテンを順々にめくり初めた。第一の窓から見る樫の茂みが過剰な重みで公園の鉄柵を噛んでいる。第二の窓からやや遠方を見る。其処の屋上起重機はロンドンの今朝の....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
だ相近し。墓碑は極めて粗略なるものにして、その富めるものは広く地面を取り、周囲に鉄柵をめぐらし、貧しきものは少々地を高め、その上に墓標を建て芝を植うる等、みなわ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
墓地というよりも卵塔場という気のしたものだった。が、今は墓石は勿論、墓をめぐった鉄柵にもすさまじい火の痕は残っている。僕は「水子塚」の前を曲り、京伝の墓の前へた....