鉄面皮[語句情報] »
鉄面皮
「鉄面皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉄面皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「畜犬談」より 著者:太宰治
聞かせている当の私にじゃれかかる。なんという甘ったれた精神であろう。私はこの犬の
鉄面皮《てつめんぴ》には、ひそかに呆《あき》れ、これを軽蔑さえしたのである。長ず....
「火の鳥」より 著者:太宰治
》り裂きたいほど、不安で、いたたまらない思いでございました。あたしは、ちっとも、
鉄面皮じゃない。生ける屍《しかばね》、そんなきざな言葉でしか言い表わせませぬ。あ....
「竹青」より 著者:太宰治
い侮辱ばかり受けて、大勇猛心を起して郷試に応じても無慙の失敗をするし、この世には
鉄面皮の悪人ばかり栄えて、乃公の如き気の弱い貧書生は永遠の敗者として嘲笑せられる....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
俺は今夜、賭博場へゆく」 折竹は、しばらくカムポスの顔をじっと見まもっていた。
鉄面皮というか厚かましいというか、しかし、こういうことを些かの悪怯れさもなく、堂....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ンもおなじ考えにちがいない。不思議な女だ、二重人格かドドの所業かと……、ヤンが、
鉄面皮を発揮して探検隊に加われば、座間はあれこれと非常に迷いながらも頑固な壁をマ....
「姥捨」より 著者:太宰治
ども、それを、口に出して、はっきり言わなければ、ひとは、いや、おまえだって、私の
鉄面皮の強さを過信して、あの男は、くるしいくるしい言ったって、ポオズだ、身振りだ....
「惜別」より 著者:太宰治
。さらにまた、医は能く病いを癒すも、命を癒す能わず、とは何という暴論だ。恐るべき
鉄面皮の遁辞に過ぎないではないか。舌は心の霊苗なり、とはどんな聖人君子の言葉か知....
「鉄面皮」より 著者:太宰治
と腹の虫が一時に騒ぎ出して来る仕末なので、作者は困惑して、この作品に題して曰く「
鉄面皮」。どうせ私は、つらの皮が厚いよ。
鉄面皮、と原稿用紙に大きく書いたら、....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
。愛国者と称せられるバーサッドはお傭い間諜で、友を売る人間であり、他人の血を売る
鉄面皮な商人であり、呪うべきユダ★からこの方この地上に現れた最大悪党の一人であり....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
したとはいえ、それまで永の月日を従順な嫁女であった女が、よもやそんなあられもない
鉄面皮さを発揮しようとは、思いもよらないことだったのだ。 「よくもいけ図々しく、....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
伯の九牛一毛なりとも功名心があり、粘着力があり、利慾心があり、かつその上に今少し
鉄面皮であったなら、恐らく二葉亭は二葉亭四迷だけで一生を終らなかったであろう。 ....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
なふうに深酒をする。そして、酔っぱらったが最後、僕は思いっきりもう、ずうずうしい
鉄面皮になる。僕の目には世の中が一切合財、一文の値打ちもなくなってしまうんだ。う....
「はつ恋」より 著者:神西清
』と、わたしは考えた。（彼がひょいと、口をすべらしたのかもしれない。そのくらいの
鉄面皮さなら、ありあまっている彼のことだから）――『それとも、誰かほかのやつが現....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
ハーバート・スペンサーも指摘したように、集団的良心というものは、個人的良心より、
鉄面皮なものなのである―― ルーファス・ペンベリーはそう考えた。彼がそう考えた....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ざる者よりして之を観れば」何ごとも変らないのに違いない。僕もまた僕の小学時代には
鉄面皮にも生薬屋へ行って「半紙を下さい」などといったものだった。 僕等は門並み....