鉋屑[語句情報] »
鉋屑
「鉋屑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉋屑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
は、小野田が姿を見せなくなってからは、一層心が狂っていた。そして近所の普請場から
鉋屑《かんなくず》や木屑をを拾い集めて来て、お島の家の裏手から火をかけようとさえ....
「泥濘」より 著者:梶井基次郎
の野原を散歩する。新しい家の普請が到るところにあった。自分はその辺りに転っている
鉋屑《かんなくず》を見、そして自分があまり注意もせずに煙草の吸殻を捨てるのに気が....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えに用がある。三河町の半七親分だ。すぐ出て来てくれ」 「はい、はい」と、伊之助は
鉋屑《かんなくず》をかき分けながら出て来た。彼はきのうも松吉に嚇されているので、....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
な男だ。 石垣について、幾曲りかして行ったところに、湯場があった。まだ一方には
鉋屑《かんなくず》の臭気《におい》などがしていた。湯場は新開の畠に続いて、硝子《....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
れじゃア何か急ぎの仕事でもしていたのだな」 三「ところが左様じゃございません、
鉋屑の中へ寝転んで煙草を呑んでいました、火の用心の悪い男ですねえ」 助「はてな....
「黴」より 著者:徳田秋声
切り拓いた地面に二|棟四軒の小体な家が、ようやく壁が乾きかかったばかりで、裏には
鉋屑などが、雨に濡れて石炭殻を敷いた湿々する地面に粘り着いていた。 笹村は旅か....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
っていた。滅茶々々に圧潰されたシルクハットが一段と悲惨さを添えていた。 其傍の
鉋屑の中に、行末は誰が家の令嬢貴夫人の襟を飾ったかも知れない駝鳥ボアが水にショボ....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
墨縄の直なには傚わぬ横道、お吉様と呼ばせらるゝ秘蔵の嬢様にやさしげな濡を仕掛け、
鉋屑に墨さし思を云わせでもしたるか、とう/\そゝのかしてとんでもなき穴掘り仕事、....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
どれの襟首をひったくると、躄車みたいに往来に引き出して行って、そして二人を同時に
鉋屑のように抛り出した。 「|出て行け!」 と、たんまり儲けたことは忘れて、支....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら、なかなかテラテラ光るというわけにはゆかないのです。ところどころに削り残された
鉋屑《かんなくず》が残っているのであります。けれども当人は、やむを得ないような面....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
のうえ、いつも地面やごみの中に寝るものだから土や泥によごれて、木の葉や木っぱや、
鉋屑《かんなくず》などがくっついていた。零落した宿なしで病身の父親イリヤはひどい....
「不肖の兄」より 著者:豊島与志雄
ーの詩さ。主人は朝から晩まで板をけずってる、日曜日に金使いもしない、二人の子供は
鉋屑の中で遊んでる、お上さんは家の入口で、貯金の胸算用をしながら編物をしてる、一....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ぬき》の巣に似たタン皮の束が立ってる牧場の所を通り、木片や鋸屑《のこぎりくず》や
鉋屑《かんなくず》などが山となってその上には大きな犬がほえており、また木材がいっ....
「陳情書」より 著者:西尾正
南へと焔が次第に拡大して行く様子なのであります。地勢から見て、私の借家は其の頃|
鉋屑《かんなくず》の如く他愛無く燃え落ちた時分なのでありましょう。子供の顔が眼先....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
島屋の娘お園に扮して、いずれも好評を博したのから起こったもので、六三がけは大工の
鉋屑になぞらえて作られた一種の頭掛けであるが、その
鉋屑のような物が時節柄なんとな....