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「鉢巻き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鉢巻きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
馬である。紅白の幕に同じ紅白の吹流しを立てて、赤く桜を染めぬいたお揃いの手拭で、鉢巻きをした船頭が二三人|櫓《ろ》と棹《さお》とで、代る代る漕いでいる。それでも....
駈落」より 著者:佐左木俊郎
たまま、背負っている草の上に、ぐったりとなって、荷縄《になわ》も解かずに、向こう鉢巻きにしていた手拭いを取って顔や襟首の汗を拭った。 婆さんが、裏の畑から、味....
手品」より 著者:佐左木俊郎
て参った。」 「祝いの芸は?」 平六はそこで、廊下に上がり、手拭《てぬぐ》いを鉢巻きにして、面白可笑《おもしろおか》しく手足を振りながら座敷の中へ這入《はい》....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
戸ッ子らしい兄いや親方が大分居るには居るけれども、よく見ると、彼等のプライドたる鉢巻きのしぶりや売り買いの言葉なぞに、昔のような剃刀《かみそり》で切ったような気....
わが町」より 著者:織田作之助
入港したのは明治三十六年十月十六日であった。 股引、腹掛、脚絆に草鞋ばき、ねじ鉢巻きの者もいて、焼けだされたような薄汚い不気味な恰好で上陸した姿を見て、白人や....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
山本勘助晴幸は、今度の作戦の失敗の責任を思い、六十三歳の老齢を以て坊主頭へ白布で鉢巻きをなし、黒糸縅しの鎧を着、糟毛の駿馬にうちまたがり三尺の太刀をうちふり、手....
亮の追憶」より 著者:寺田寅彦
チの絵からわかる。浴場の絵には女の裸体がある。また紋付きの羽織で、書机に向かって鉢巻きをしている絵の上に「アーウルサイ、モー落第してもかまん、遊ぶ遊ぶ」とかいた....
超人間X号」より 著者:海野十三
か」 「ちゃんと服を着ているよ。頭のところに白い布で鉢巻《はちま》きをしている。鉢巻きではなくて繃帯《ほうたい》かもしれんが……。ちょいと君、これで見てごらん」....
転機」より 著者:伊藤野枝
向って呼ぶ声がする。返事をしながら、其方の方に歩いてゆくと蘆の間から一人の百姓が鉢巻きをとりながら出て来た。挨拶を交わすと、それはS青年の兄にあたる、この家の主....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
口した。 かれが今町の入り口へさしかかると向こうから巌がやってきた、かれは頭に鉢巻きをして柔道のけいこ着を着ていた。チビ公ははっと思って小路にはいろうとすると....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
理由は、こうした一種の観客的な反省によるばかりではない。ジンタバンドの喇叭の音や鉢巻きをした店員の絶叫や下駄の音から来る効果だけではない。なにより耳につくのは、....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
充分だった。それによって私は、北の都の中央にあって豆腐のらっぱを聞き、夕刊配達の鉢巻きを見、そうして日本の「たそがれ」を思ったからだ。あまりの表情のない石と鉄と....
文福茶がま」より 著者:楠山正雄
大きな声で呼び立てますと、小僧さんたちは、 「そら来た。」 というので、向こう鉢巻きで、ほうきやはたきを持ってとび込んで来ました。でももうその時分にはもとの茶....
雑記(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
かどうだか見ただけでは分らない。昔は花火の筒と云えば、木筒に竹のたがを幾重となく鉢巻きしたのを使ったものだが、さすがに今ではもうそんなものは使わないと見える。第....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
た。そこへ下流から漕いで来たのは久振りに見る五大力である。艫の高い五大力の上には鉢巻きをした船頭が一人一丈余りの櫓を押していた。それからお上さんらしい女が一人御....