»
鉦
「鉦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
家は浄土宗の寺です。だから小さい時から釣鐘の音やあの宗旨《しゅうし》で使う念仏の
鉦《かね》の音は聞き慣《な》れていたんです。それは今でも耳についていて忘れません....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
端に十二時、鈴を打つのが、ブンブンと風に響くや、一つずつ十二ヶ所、一時に起る摺半
鉦、早鐘。 早や廊下にも烟が入って、暗い中から火の空を透かすと、学校の蒼い門が....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
干の声になってから、各自言合わせたように、膝が固まった。 時々灰吹の音も、一ツ
鉦のようにカーンと鳴って、寂然と耳に着く。…… 気合が更まると、畳もかっと広く....
「海底都市」より 著者:海野十三
か知らないほどだった。 「なにをまごまごしている。ここだ、ここだ」 博士のわれ
鉦《がね》のような声にびっくりして、僕は博士が手招《てまね》きしている一つの室へ....
「骸骨館」より 著者:海野十三
に合うよ。そして胆だめしの当番は、あそこのくぐり戸からこっちへ入るんだよ。そして
鉦をかんかんと叩かせ、それから“ううッ”て呻らせ、それがすんだら最後に縄をひっぱ....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
えし、殊更かるい会釈で応えて、その場を足早に立ち去った。しかし、彼女の心臓は、早
鉦のように打ちつづけていた。 無我夢中で、二三丁ばかり、走るように歩いて、彼女....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
聞入ったほどである。 ちゃんちきちき面白そうに囃すかと思うと、急に修羅太鼓を摺
鉦交り、どどんじゃじゃんと鳴らす。亀井戸寄りの町中で、屋台に山形の段々染、錣頭巾....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、色づき初めた銀杏の梢に、風の戦ぐ、と視めたのは、皆見世ものの立幟。 太鼓に、
鉦に、ひしひしと、打寄する跫音の、遠巻きめいて、遥に淀川にも響くと聞きしは、誓文....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
提灯を、これへ置くか。樹下石上というと豪勢だが、こうした処は、地蔵盆に筵を敷いて
鉦をカンカンと敲く、はっち坊主そのままだね。」 「そんなに、せっかちに腰を掛けて....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
お方にはお覚えはないのでありまするが、三太やあい、迷イ児の迷イ児の三太やあいと、
鉦を叩いて山の裾を廻る声だの、百万遍の念仏などは余り結構なものではありませんな。....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ことは、蝸牛の狂言のようだよ。」と寂しく笑ったが、 「あれ、」 寺でカンカンと
鉦を鳴らした。 「ああ、この路の長かったこと。」 七 釣棹を、ト....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
からはじまった。 それ、谿川の瀬、池水の調べに通って、チャンチキ、チャンチキ、
鉦入りに、笛の音、太鼓の響が、流れつ、堰かれつ、星の静な夜に、波を打って、手に取....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
けめのない利巧な人間は世の中にはありあまつて困るくらいだ。しかし、源太はいない。
鉦や太鼓で探しても源太は寥々として虚しい。 いつてみれば源太は万葉調で四郎は新....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
年|不沙汰した、塔婆の中の草径を、志す石碑に迷ったからであった。 紫|袱紗の輪
鉦を片手に、 「誰方の墓であらっしゃるかの。」 少々|極が悪く、……姓を言うと....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
に、一念発起して世を捨てた。土手の道哲の地内に、腰衣で土に坐り、カンカンと片手で
鉦を、敲き、たたき、なんまいだなんまいだなんまいだ、片手は上下に振っている。ああ....