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鉾杉
「鉾杉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鉾杉の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
をへし折り炉の傍へかけてから、彼は味噌汁に入れる葱をナイフできざんだ。雪を冠った
鉾杉の幹の下でぷつぷつ切れてゆく葉脈の匂いが強く発ち、あたりの雪の白さが急に眼に....
「山の春」より 著者:高村光太郎
。遠山はまだ白いが、姿のやさしい、低い山々の地肌にだけ雪がのこって、寒さに焦げた
鉾杉や、松の木が、その山々の線を焦茶いろにいろどっているところへ、大和絵のような....
「魔都」より 著者:久生十蘭
がギャアと鳴く。
夜番の柝の音も凍りそうな一月二日の深夜。桐のずんどに高野槙、
鉾杉、棚かえでなどが繁りに繁って、昼でも薄暗い山王の森。かれこれ午前三時というの....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
く。顎十郎はすこし遅れて、のそのそとそのあとをついてゆく。 片側は土手、片側は
鉾杉《ほこすぎ》の小暗《おぐら》い林で、鳥の声もかすかである。御手洗《みたらし》....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
を渡れとは書いてなかったようだ。するてえと……」 築山《つきやま》のむこうに、
鉾杉《ほこすぎ》が四五本ならんでいて、そのむこうに、ぼんやりと灯影《ほかげ》が見....
「三階の家」より 著者:室生犀星
時の間にかしくしく泣き出していた。そして永い間、坐ったままでいた。 向いの寺の
鉾杉に風が鳴り出して、まだ明りの漂うている部屋の中に何の物音もなかった。女は手鏡....