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「銀灰色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

銀灰色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
、この慰安と寂寥とを味わいうるがために、自分は何よりも大川の水を愛するのである。銀灰色の靄《もや》と青い油のような川の水と、吐息《といき》のような、おぼつかない....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
て、焼け木の森に打ち寄せ、鉄橋を漂わせ、小山を這い上り、煙突を浮かせつつ、果ては銀灰色の空の下に煙のように消え込んでいる。その間に黒い枯木が散らばる、廃墟のよう....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
置をかの女の方向へ置き直した。かの女はしばらく、薄紅色のカーネーションの花弁に、銀灰色の影のこまかく刻み入ってるのを眺め入った。 小広いテーブルに重ねられた清....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
」大工は涙を何度も腕で拭いながら眼をきめた。 こっちから見ると、雨上りのような銀灰色の海をバックに、突き出ているウインチの腕、それにすっかり身体を縛られて、吊....
縮図」より 著者:徳田秋声
と弁護士の方も軽く会釈したが、彼は五十五六の年輩の、硬い口髯も頭髪も三分通り銀灰色で、骨格のがっちりした厳つい紳士であった。 「先生も春早々東京へお出掛けか....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
私はゆっくりとその女を研究した。 近東型の広い紺いろの顔が、八月の地中海が誇る銀灰色のさざなみによって風景画的に装飾されていた。私はきのうモナコの岩鼻から見物....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
こんで来た、若いルセアニアの商人が、私を、自分の前の空椅子へ招待するのに任せた。銀灰色の細毛の密生した彼の手首に、六種の色彩の大理石を金で繋いだ鎖が掛かっていた....
桃のある風景」より 著者:岡本かの子
のは濡れ色をしていた。白い煙さえも液体に見えて立騰っていた。 川上の上は一面に銀灰色の靄で閉じられて、その中から幅の広い水の流れがやや濁って馳せ下っていた。堤....
丹下左膳」より 著者:林不忘
、去った夏の夕べの蚊柱《かばしら》のように、かすかに耳にこもるきり、大川の水は、銀灰色《ぎんかいしょく》に濁って、洋々と岸を洗っています。 「この矢文で見ると、....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
春があった。新生の夢が、よどんだなま温かい空気の中に醸《かも》されていた。若緑が銀灰色の橄欖樹《オリーヴ》と交じり合っていた。溝渠《こうきょ》の廃址《はいし》の....
作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
の中にフラフラと揺れて見えた。 墓の下方には丈の高い薄気味の悪い薊が枯々とした銀灰色を呈しながらむらがっていた。一度ならず、二度ならず、嵐にあおられた薊の種子....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
眼の報酬として、某紳商の美術館から、かっぱらって来た絵だろうか? 本物のマチス、銀灰色の縁、狂いのない掲げ振り、よく調子が取れている。将しく彼女には審美眼がある....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
乱雑に投げ出されて置いてもあったが、薄暗い部屋の微光の中で、その太刀の鞘の一本が銀灰色におぼめいているのが、これまた古風に眺められた。で、部屋の中は狼藉としてい....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
十度余で、岩角で確保しながらほとんど平になって見える先ほどの雪渓や一枚岩の岩場が銀灰色に光って見える。時折雪渓の一部が轟然たる反響を残して崩れ落ちる。岩を掻くネ....
雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
が疎らに点在している。そうして所々に露出した山骨は青みがかった真珠のような明るい銀灰色の条痕を成して、それがこの山の立体的な輪郭を鋭く大胆なタッチで描出している....