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「銭札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

銭札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
より自然に向って問いながら、首をかしげている謙虚な裸の状態だった。よれよれの五十銭札みたいに使い古された陳腐な言葉の助けを借りて、何もかも既知の事実にしてしまう....
出世」より 著者:菊池寛
も、閲覧券売場の様子も少しも変っていなかった。彼は閲覧券売場の窓口に近づいて、十銭札を出しながら、 「特別一枚!」と、いった。すると、思いがけなく、 「やあ、長....
突貫紀行」より 著者:幸田露伴
穿《うが》ち歩むに、一ツ家のわらじさげたるを見当り、うれしやと立寄り一ツ求めて十銭札を与うるに取らず、通用は近日に廃《はい》せらるる者ゆえ厭《いと》い嫌《きら》....
渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
、紙に包んだ奴が。彼はそれを開けてみた。そこには紙幣が入っていた。五円札と、五十銭札と、一円札とが合せて十円ぐらい入っている。母が、薪出しをしてためた金を内所《....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
いと思う。御飯の煮える間に、お母さんへの手紙の中に長い事して貯めていた桃色の五十銭札五枚を入れて封をする。たった今、何と何がなかったら楽しいだろうと空想して来る....
青年の生きる道」より 著者:宮本百合子
と言ってモラトリアムがしかれたが、私達の大部分は、モラトリアム公表の一日前に五十銭札で隠しておく二千円、三千円という金を持ってはいなかった。交通費は三倍になって....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
の戸棚を開けはなし、中央《まんなか》の柱を上だけぬいて山台《やまだい》にする。十銭札や二十銭札――この間中あったのとは違った――が廃《や》められる時、戸棚の方へ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
藩々でも多くはそうだが、私の藩でも久しき以前より紙幣を発行していた。これは銀札と銭札との二種があって、銀札は何の都合であったか余り世間には行われないで、もっぱら....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
時刻に出掛けて行った。H町で乗った電車はほとんどがら明きのように空いていた。五十銭札を出して往復を二枚買った。そしてパンチを入れた分を割き取って左手の指先でつま....
氷河」より 著者:黒島伝治
ろで着るための真綿がある。石鹸、手拭、カキモチが這入っている。高野山の絵葉書に十銭札を挟んである。……それが悉く内地の匂いに満ちていた。手拭には、どっかの村の肥....
」より 著者:森鴎外
玉はこわくて泣き出したいのを我慢して、その頃通用していた骨牌のような形の青い五十銭札を二枚、見ている前で出して紙に包んで、黙って男の手に渡した。男は存外造作なく....
放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
。」 私は伽話的な青年の行動に好ましい微笑を送った。そして気もちよく桃色の五拾銭札を二枚出して青年の手にのせてやった。 「貴方お腹がすいてたんですね……。」 ....
夜光虫」より 著者:織田作之助
ら札束を掴み取ったが、薄暗がりですかしてみると、十円札は一枚しかなく、あとは五十銭札と一円札ばかり、全部で三十円にも足りなかった。 「なんだ。これっぽっちか」 ....
思い出草」より 著者:岡本綺堂
にやって来いと命じ、かつ与ったらば直に駈けて来いと注意された。乞食同様の男に二十銭札はちと多過ぎると思ったが、いわるるままに札を掴んでその店先へ駈けて行き、男の....
水魔」より 著者:田中貢太郎
いた。「ちょっと出かけるから、後でいっしょに払っといてくれ」と、彼は蟇口から五十銭札を二枚出した。 「いよいよ駒形か」と、岩本は羨ましそうに聞いた。 「まあ、そ....