鋭い[語句情報] »
鋭い
「鋭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鋭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
来の砂の中へ、斜めにのばした二の腕には、水気《すいき》を持った、土け色の皮膚に、
鋭い齒の跡が三《み》つ四《よ》つ、紫がかって残っている。が、女は、じっと目をつぶ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
の友だちは人並み以上に語学の才能を具《そな》えていた。しかし又確かに人並み以上に
鋭い犬歯をも具えていた。…………
(以下続出)
附記 この小説はもうこの三四....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
の喜びが、まだ消えずにいるからであろう。――
「そうかね。」
鼻の高い、眼光の
鋭い顔が一つ、これはやや皮肉な微笑を唇頭に漂わせながら、じっと呂馬通《りょばつう....
「母」より 著者:芥川竜之介
そうに、そっと赤児を胸に取った。
「まあ、御可愛い。」
敏子は顔を寄せながら、
鋭い乳の臭いを感じた。
「おお、おお、よく肥《ふと》っていらっしゃる。」
やや....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
を、あの癖のある御口元にちらりと御浮べになりながら、一言二言《ひとことふたこと》
鋭い御批判を御漏《おも》らしになるばかりでございます。
いつぞや大殿様が、二条....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
であろう。けれども苦痛そのものは窮民も彼も同じことである。いや、むしろ窮民よりも
鋭い神経を持っている彼は一層《いっそう》の苦痛をなめなければならぬ。窮民は、――....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ゃ》にしようと思ったのです。」
「その子どもは?」
巡査ははじめて相手の河童へ
鋭い目を注ぎました。
「一週間前に死んでしまいました。」
「死亡証明書を持ってい....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
俊は、斉広が飜弄《ほんろう》するとでも思ったのであろう。丁寧な語の中《うち》に、
鋭い口気《こうき》を籠めてこう云った。
斉広はこれを聞くと、不快そうに、顔をく....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
田さんの「※燻《いくん》」を見たことがある。けれども時代の陰影とでもいうような、
鋭い感興は浮かばなかった。その後にマロニックの「不漁」を見た時もやはり暗い切実な....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
葉はたちまち神父の顔に腹立たしい色を漲《みなぎ》らせた。神父は何も知らぬ女の顔へ
鋭い眼を見据《みす》えると、首を振り振りたしなめ出した。
「お気をつけなさい。観....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
って、老人は堪《こら》えきれなくなったように、声をあげて笑った。烏が鳴くような、
鋭い、しわがれた声で笑ったのである。「私は、金には不自由をしない人間でね、お望み....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
尋ねたまま、支那人の前に足を止めた。そうして彼等の裸姿《はだかすがた》へ、じっと
鋭い眼を注いだ。後《のち》にある亜米利加《アメリカ》人が、この有名な将軍の眼には....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
、「メリメエの書簡集」を読みはじめた、彼はこの書簡集の中にも彼の小説の中のように
鋭いアフォリズムを閃かせていた。それ等のアフォリズムは僕の気もちをいつか鉄のよう....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
の消え失せてしまった孤独な生活の最後に襲って来る瓦解をよく語っている。この手記は
鋭い神経をもつ人や感じやすい者のみに解るような悲惨な最後の理由を述べ尽しているの....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
なった。ちょうどこの瞬間、橋のかたわらで、ざぶざぶ水をわたる足音が、イカバッドの
鋭い耳にきこえた。川のふちの、森の暗い影に、なにか巨大な、奇態な形をした、黒いも....