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鋭く
「鋭く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鋭くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
る。弟を殺すか、おれが殺されるか。……)
太郎は、死人《しびと》のにおいが、
鋭く鼻を打ったのに、驚いた。が、彼の心の中の死が、におったというわけではない。見....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
騒ぎの中に、恐しくかんと冴《さ》え渡って、磨いた鉄の冷かな臭《におい》を、一度に
鋭く鼻の孔の中へ送りこんだ。そうしてそれと共に、眩《まばゆ》く日を反射した、幅の....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
ような、滑《なめらか》な淤泥《おでい》の心もちである。私はこの小さな油画の中に、
鋭く自然を掴《つか》もうとしている、傷《いたま》しい芸術家の姿を見出した。そうし....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
…」
「黙れ。」
阿闍梨は、手頸《てくび》にかけた水晶の念珠をまさぐりながら、
鋭く翁の顔を一眄《いちべん》した。
「不肖ながら道命は、あらゆる経文論釈に眼《ま....
「或る女」より 著者:有島武郎
待って、中にはいろうとして、八分通りつまった両側の乗客に稲妻《いなずま》のように
鋭く目を走らしたが、左側の中央近く新聞を見入った、やせた中年の男に視線がとまると....
「或る女」より 著者:有島武郎
記事を載せて、田川夫人からさらにくわしい消息の来るのを待っているのだろう。葉子は
鋭くもこう推《すい》した。もしこれがほかの新聞であったら、倉地の一身上の危機でも....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ていた。
居鎮《いしず》まって見ると隙間《すきま》もる風は刃《やいば》のように
鋭く切り込んで来ていた。二人は申合せたように両方から近づいて、赤坊を間に入れて、....
「私の父と母」より 著者:有島武郎
経とかを読ませられたのである。一意意味もわからず、素読するのであるが、よく母から
鋭く叱られてめそめそ泣いたことを記憶している。父はしかしこれからの人間は外国人を....
「星座」より 著者:有島武郎
出ださねばならなかった。なぜというと新井田氏がはいってきた瞬間に、その眼は思わず
鋭くなって、奥さんが良人をどういう態度で迎えるかを観察するのを忘れなかったからだ....
「親子」より 著者:有島武郎
別に断わりはしなかった旨を答えた。父はそれには別に何も言わなかったが、黙ったまま
鋭く眼を光らした。それから食膳の豊かすぎることを内儀さんに注意し、山に来たら山の....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
軽く手を置いて間遠につぶやき始めた。小雨の雨垂れのようにその言葉は、清く、小さく
鋭く、クララの心をうった。 「何よりもいい事は心の清く貧しい事だ」 独語のよう....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
わして居るかを、直ぐ見て取る事が出来た。余りの不意に思わず気息を引くと、迸る様に
鋭く動悸が心臓を衝くのを感じた。而してそわそわしながら、ヤコフ・イリイッチの方を....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
ウレリウスは近頃どことなく疲れ切っているので、この旅行が自分の鈍りかかった神経を
鋭くしてくれれば好いがと思ったくらいであったから、ラザルスに付いてのどんな噂にも....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
科学と宗教との間に判然と境界を立てて別物にして。 ファラデーの態度をチンダルが
鋭く批評したのに、「ファラデーは礼拝堂の戸は開けっぱなしで(open)寛大にして....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
毎の町のどさくさはあっても、工場の笛が鳴り、汽車ががたがた云って通り、人の叫声が
鋭く聞えてはいても、なんとなく都会は半ば死しているように感じられる。 フレンチ....