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「鋭さ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鋭さの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
なかった。彼は本所の町々に自然の美しさを発見した。しかし彼の自然を見る目に多少の鋭さを加えたのはやはり何冊かの愛読書、――就中《なかんずく》元禄の俳諧《はいかい....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
顔をかたくして、崋山を見た。それほど崋山のこの冗談のような語《ことば》には、妙な鋭さがあったのである。 「しかしまず若い者は、生きのこる分別をすることです。討死....
少年」より 著者:芥川竜之介
小栗を懐柔《かいじゅう》した。保吉は未《いまだ》にこの少年の悪智慧《わるぢえ》の鋭さに驚いている。川島は小学校も終らないうちに、熱病のために死んでしまった。が、....
或る女」より 著者:有島武郎
う事だった。実際男の一文字眉《いちもんじまゆ》は深くひそんで、その両眼はひときわ鋭さを増して見えた。それを見て取ると葉子の心の中はかっとなったが、笑《え》みかま....
婦系図」より 著者:泉鏡花
「神田の祭礼に叩き売っても、娘の縁で借りるもんかい。河野!」 と屹と見た目の鋭さ。眉を昂げて、 「髯があったり、本を読んだり、お互の交際は窮屈だ。撲倒すのを....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
さが現われていた。少しでもまに合わせを言おうものなら軽蔑してやるぞといったような鋭さが見えた。よし、それじゃ存分に言ってやろうと私もとうとうほんとうに腰をすえて....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
黒雲を劈いて天の一角から一角に流れて行く電光の姿はまた私に本能の奔流の力強さと鋭さを考えさせる。力ある弧状を描いて走るその電光のここかしこに本流から分岐して大....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
くないものである』と言っているが、これは遺憾ながら、彼には往々珍しくない批判力の鋭さの欠乏を示すものである。 すなわち、彼の説によると、諸遊星のうちで、太陽に....
演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
個人的なものと一般的なものと両様ある。個人的なものとはもっぱら演出者の個々の眼の鋭さに由来するが、一般的なものは、演出者がいつもカメラの眼を背負って立っていると....
階段」より 著者:海野十三
ピチピチ生きている人間を捉えてやる仕事でその観察点も現代人の心臓を突き刺すほどの鋭さがあるところに、わが友江田先生の統計趣味の誇りがあるといってよい。 で、僕....
地獄街道」より 著者:海野十三
はいよいよ赤とも黄とも区別のつかぬ顔色になって、眼を輝かせた。「おれ様の探偵眼の鋭さについて君は駭かないのか。いいかネ。その妖酒を飲んで例のバーを出るとフラフラ....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
て見える谷に、Y字形の雪を残して、それから上に、右手には前種高への岩が、はげしい鋭さをもって、ギザギザと頂上まで押し立っている。正面には奥穂高が、黒い岩、雪を光....
地獄の使者」より 著者:海野十三
さん。私は大いに敬意を表しているんですよ。あなたがマッチまで持って行かれる着眼の鋭さには絶讚をおしみませんね」 「ふふふ。それは多分君に褒められるだろうと予期し....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
たのか薙刀が一振かかっている。勿論誰も手を触れず、いつ研いだ事もないのに、切味の鋭さは、月の影に翔込む梟、小春日になく山鳩は構いない。いたずらものの野鼠は真二つ....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
芬々薫る処を、波々と、樽から酌いでくれたから、私はごくごくと傾けた。実に美酒の鋭さは、剣である。 「お楽みでございますな、貴女様もお一ついかがで。えへへへ。」....