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鋭角
「鋭角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鋭角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
た。それゆえ夕方は昼間にひきかえて騒々しいまでに賑《にぎ》やかだった。音と声とが
鋭角をなしてとげとげしく空気を劈《つんざ》いて響き交わした。その騒音をくぐりぬけ....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
が、越前勢の旗差物が潮のように濠を塞ぎ、曲輪《くるわ》に溢れ、寄手の軍勢から一際
鋭角を作って、大坂城の中へ楔《くさび》のごとく食い入って行くのを見ると、他愛もな....
「猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
《ごばんじま》を膨れ上がらせていた。街の高層建築はその両側からいまにも倒れそうな
鋭角の傾斜を見せて、円形・三角・楕円形《だえんけい》・四角、さまざまな帽子の陳列....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
袋を見ると買わずには通り過ぎることが出来ない位でした。あの下の方へ細っそりとした
鋭角はノウノウとした気分でいる子供の食慾を引きつけずには置かないのでした。
鋭角と....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
れは洋式だった。青味がかったペンキを塗り立ててあった。屋根はスレート葺きだ。棟は
鋭角をなして空中に高く尖っていた。しかし、柱や梁は古木で細く、所々古い孔へ埋め木....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
悠ったりと落ちつきはらって、南の空を、のたくっている、それでも尖りに尖った山稜の
鋭角からは、古い大伽藍の屋根の瓦が、一枚一枚|剥くられては、落ちて砕けて、長い廻....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
力を通行人の頭上に加えて虚空の「通せん坊」をしあっている。人の眼も昇降機の如く、
鋭角を追うて一気に上下すれば、建物と建物との間にはさまって、帯のように狭くなった....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
スベスベ、カサカサ、フワフワ、ネバネバ、ニチャニチャ、張力、弾力、円錐球楕円三角
鋭角鈍角平面四角八角ギザギザ階段その他いろいろの複雑な立体などである。要するに目....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
、さあとなるとあの黄褐色は私の食慾をそそらなかった。 やはり軌道と動輪との間の
鋭角がいいと感じた。ある日また病院をぬけ出した二人は五、六里の郊外を散歩してその....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
規で引いたような堅い荒い冷やかな構図があって、痩《や》せた女の肱《ひじ》のように
鋭角をなして曲がっていた。または波動をなしてる構図もあって、煙草《たばこ》の煙の....
「青春論」より 著者:坂口安吾
は決してそれではなかったのである。彼はもっと凡夫の弱点のみ多く持った度し難いほど
鋭角の多い男であった。彼には、いつ死んでもいい、という覚悟がどうしても据らなかっ....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
、ちがっていた。肩をそびやかして対するようなところもなく、狡猾な処世技術によって
鋭角をかいているのでもないようであった。 「とても親切に看病して下さるんですッて....
「ルネ・クレール私見」より 著者:伊丹万作
えんは一にこの技巧と機知にかかつている。 彼が持つ精鋭なる武器、斬新なる技巧と
鋭角的な機知をさげて立ち現われると我々はそれだけでまず圧倒されてしまう。 技巧....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
や絶望のように感じられる。「おれの夢は明瞭すぎるほど明瞭な輪廓と人の胸を突き刺す
鋭角とをもった形式ばかりのものとなって示される。それも好い。おれはなお自由と法悦....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
った、彼女は、何か寂しい翳があるというよりも寧ろ冷い感じのする容貌をもっていた。
鋭角的な輪廓、よく通った鼻筋、広い額、が、その冷たさに触れてかえって心が温まると....