錆色[語句情報] »
錆色
「錆色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
錆色の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「御身」より 著者:横光利一
出した。二人は山へ来ると蘚《こけ》の上へ足を投げ出して坐った。真下に湖が見えた。
錆色《さびいろ》の帆が一点水平線の上にじっとしていた。深い下の谷間からは木を挽《....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
軍する武田勢三千、その真先に、白覆輪の鞍置いた月毛の馬を躍らし、卯の花|縅の鎧に
錆色の星冑|鍬形打ったのを着け、白旗の指物なびかせた老武者がある。武田の驍将馬場....
「爛」より 著者:徳田秋声
湯を汲んだ金盥や、石鹸箱などを、硝子戸の外の縁側へ持って行った。庭には椿も大半|
錆色に腐って、初夏らしい日影が、楓などの若葉にそそいでいた。どこからか緩いよその....
「道標」より 著者:宮本百合子
をするひともなかった。
ベルリンの未決監獄は、アルトモアブ街に、おそろしげな赤
錆色の高壁をめぐらして建っていた。一行が案内されて、暗い螺旋《らせん》階段をのぼ....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
ていましたでしょうか」 「はははは」と亀之介が突然笑った。 「醜態でしたよ。上に
錆色のコートを着、裾から太い二本の脚がにゅっと出ていました。そして当人は気がつか....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
逆上したか、スミス中尉が叫んだ。 銃声がつづいた。暗中に、銃口から吐きだされる
錆色の焔。 うわーっと、奥の方でうめいた者がある。そして床の上に転がったらしい....
「浅間山麓」より 著者:若杉鳥子
が、近づいて見ると、緑色の上着の胸を寛げて、自己の履歴を語るように、焼け爛れた赤
錆色の四角な肌を露出している。 私の泊まった家は、病院であって宿屋なのである、....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
を廻って二時に近かったが、陽盛りのその頃は、漁具の鹹気がぷんぷん匂ってきて、巌は
錆色に照りつけられていた。 ウルリーケとともに艙蓋を下りるまでにはだいたいの聴....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
心が真に対象を素直にうけ入れられるようになったのですね。以前僕の描いた山吹の色は
錆色でした。それが渋いとか何とかいいかげんなニヒルの仲間達に煽てられたもんですが....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
太組で、極めて簡朴な、そうして異国風の雅味を持った建築であった。それに赤みがちの
錆色にも古びがつき、硝子窓の切り方などもかなりに凝って、尖った屋根飾りや軒飾りな....
「日本の伝説」より 著者:柳田国男
の神様|赤水明神は姫神でした。この水を掬んで歯をお染めになろうとすると水の色が赤
錆色であったので、また銕漿水という名前もありました。お社はその泉の前の岩の上にあ....