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錦
「錦〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
錦の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、人に誘われて、まんまと強盗にさえ身をおとしたがな。綾《あや》を盗めば綾につけ、
錦《にしき》を盗めば、
錦につけ、思い出すのは、ただ、おばばの事じゃ。それから十年....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
。そうしてその上には怪しげな楊柳観音《ようりゅうかんのん》の軸が、煤《すす》けた
錦襴《きんらん》の表装《ひょうそう》の中に朦朧《もうろう》と墨色《ぼくしょく》を....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
います。私が一両度御見かけ申しました限でも、柳桜《やなぎさくら》をまぜて召して、
錦に玉を貫いた燦《きら》びやかな裳《も》の腰を、大殿油《おおとのあぶら》の明い光....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
の御宮の扉を開けましたが、今|雪洞《ぼんぼり》の光に透《す》かして見ると、古びた
錦の御戸帳《みとちょう》の後に、端然と立っている御神体は、ほかでもない、この麻利....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
、そのほかには鼠《ねずみ》の啼く声さえも聞えない。
阿闍梨《あざり》は、白地の
錦の縁《ふち》をとった円座《わらふだ》の上に座をしめながら、式部の眼のさめるのを....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
うな眼で、舞台の上に周旋する鼠の役者を眺めている。けれども、曲が進むのに従って、
錦切《きんぎ》れの衣裳をつけた正旦《せいたん》の鼠や、黒い仮面《めん》をかぶった....
「早春」より 著者:芥川竜之介
ためらった後《のち》、隣り合った鳥類《ちょうるい》の標本室へはいった。カナリヤ、
錦鶏鳥《きんけいちょう》、蜂雀《はちすずめ》、――美しい大小の剥製《はくせい》の....
「少年」より 著者:芥川竜之介
いた。両国の「大平《だいへい》」に売っている月耕《げっこう》や年方《としかた》の
錦絵《にしきえ》をはじめ、当時流行の石版画《せきばんえ》の海はいずれも同じように....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
馬《へいば》についていた脚であり、そのまた斃馬は明らかに張家口《ちょうかこう》、
錦州《きんしゅう》を通って来た蒙古産の庫倫《クーロン》馬である。すると彼の馬の脚....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
評判になったのを覚えている。いったいひとり荒岩に限らず、国見山でも逆鉾でもどこか
錦絵の相撲に近い、男ぶりの人に優れた相撲はことごとく僕の贔屓だった。しかし相撲と....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
が明かになって来る。それは感激なくして書かれた詩のようだ。又着る人もなく裁たれた
錦繍のようだ。美しくとも、価高くあがなわれても、有りながら有る甲斐のない塵芥に過....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
いかに査べて見ても、金粉を散らした、濃い朱塗りの装具といい、又それを包んだ真紅の
錦襴の袋といい、生前現世で手慣れたものに寸分の相違もないのでした。私は心からうれ....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
真も茲十年ほどの間に急速の進歩をしたものだと感心せずにはおられない。 一番初め
錦輝館で、そもそも活動写真というものを興行した事がある。その時は、海岸へ波が打上....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
変る牡丹を庭に植えさせるやら、白孔雀を何羽も放し飼いにするやら、玉を集めるやら、
錦を縫わせるやら、香木の車を造らせるやら、象牙の椅子を誂えるやら、その贅沢を一々....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
感じなければ外に安住するところはない。 広重の情趣 尤も、今の東京にも、昔の
錦絵にあるやうな景色は全然なくなつてしまつたわけではない。僕は或る夏の暮れ方、本....