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錫杖
「錫杖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
錫杖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
部となって廻国修行の旅に出ようと思い立った。彼は仏の像を入れた重い笈を背負って、
錫杖をついて、信州の雪を踏みわけて中仙道へ出た。それから諸国をめぐりあるいて江戸....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
うに龕がある。龕の中に人がいる。頭巾を冠り行衣を着、一本歯の鉄下駄を穿き、片手に
錫杖を握ったところの、それは気高い老人であったが、しかし活きてはいなかった。他な....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
とするとしていた。勝軍地蔵は日本製の地蔵で、身に甲冑を着け、軍馬に跨って、そして
錫杖と宝珠とを持ち、後光輪を戴いているものである。如何にも日本武士的、鎌倉もしく....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
うにして置いて、七十の声を聞いたならばその時こそは全国|行脚をこころざし、一本の
錫杖を力に、風雲に身を任せ、古聖も何人ぞと発憤して、戦場に向かうがごとくに住み慣....
「一緒に歩く亡霊」より 著者:田中貢太郎
にいる山伏を頼んで祈祷をしてもらおうとすると、須弥壇が動きだしたり、榊立や山伏の
錫杖が何人が投げるともなしに家の外へ飛んででたりするので、山伏も恐れて逃げて往っ....
「老狐の怪」より 著者:田中貢太郎
ないなら、正体を現わしてお目にかけましょう」 と言って、印を結んで真言を唱え、
錫杖を振りあげて、 「早くもとの形にならないか」 と言うと、狐の女は悶絶して倒....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
さすがに、アルプス仕立の羽の帽子を冠ったり、ピッケルを担いだりしたのは少ないが、
錫杖を打ち鳴らす修験者、継ぎはぎをした白衣の背におひずるを覆せ、御中道大行大願成....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
たのは善哉童子。この両側左右の背後に、浄名居士と、仏陀波利が一は払子を振り、一は
錫杖に一軸を結んだのを肩にかつぐように杖いて立つ。額も、目も、眉も、そのいずれも....
「妖怪記」より 著者:田中貢太郎
飯がすんだなら畑の仕事も休んで、親類の家へ往こうと思って飯を喫っていると、門口で
錫杖を鳴らす音がした。お作はその音を聞くと何んだか体がすっきりしたように思って、....
「長者」より 著者:田中貢太郎
わなかった。 長者には八人の子があった。某日其の長者の家へ、穢い容をした旅僧が
錫杖を鳴らしながら来て手にした鉄鉢をさし出して、 「御報謝を願います」 と云っ....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
ご用聞きの仙介に身をやつしていた、目明しの仙右衛門は飛びかかった。ガラガラという
錫杖の音! 月光に閃めく匕首の光! ムラムラと寄せ、ガッと引っ組み、バタバタと仆....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
の御幣をさしておく容器の中に生きたドジョウが入れてある。山伏は荒々しく祈りながら
錫杖をドシンドシン突きならすから、それにおどろいてドジョウが騒ぎ出す。御幣がうご....
「屋根裏の犯人」より 著者:坂口安吾
りはすさまじく、身の毛がよだつようです。 身をふるわせて珠数もみくだき、はては
錫杖を突きたてて、悪魔すらもハッタと祈り伏せんばかり。 荒々しい祈りが静まると....
「越中劍岳先登記」より 著者:柴崎芳太郎
人間の入りし事のないちょうこの山の巓きに多年風雨に曝され何ともいえぬ古色を帯びた
錫杖の頭と長さ八寸一分、幅六分、厚三分の鏃とを発見したことである。鏃は空気の稀薄....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
わけ、二十分で手近き山稜、右に折るれば、槍の最南峰に当る絶嶮地、半ば以上登ると、
錫杖の頭を並べたような兀々した巉岩が数多競い立っている。先ずこの右側を廻り、次に....