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鍬形
「鍬形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鍬形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
軍人の誇りとするものは必ず小児の玩具に似ている。緋縅《ひおどし》の鎧《よろい》や
鍬形《くわがた》の兜《かぶと》は成人の趣味にかなった者ではない。勲章も――わたし....
「或る女」より 著者:有島武郎
ているのに、……憎さは一倍だった。貞世を見つめているうちに、そのやせきった細首に
鍬形《くわがた》にした両手をかけて、一思いにしめつけて、苦しみもがく様子を見て、....
「ロマネスク」より 著者:太宰治
仙術太郎 むかし津軽の国、神梛木《かなぎ》村に
鍬形惣助《くわがたそうすけ》という庄屋がいた。四十九歳で、はじめて一子を得た。男....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の地名が人の注意をひく上に、そこには大窪詩仏や梁川星巌のような詩人が住んでいた。
鍬形※斎や山田芳洲のような画家も住んでいた。撃剣家では俗にお玉ヶ池の先生という千....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
すぐに「これだ」と云って、中央の一つを指差した。その一つは、萌黄匂の鎧で、それに
鍬形五枚立の兜を載せたほか、毘沙門篠の両|籠罩、小袴、脛当、鞠沓までもつけた本格....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
三千、その真先に、白覆輪の鞍置いた月毛の馬を躍らし、卯の花|縅の鎧に錆色の星冑|
鍬形打ったのを着け、白旗の指物なびかせた老武者がある。武田の驍将馬場美濃守信房で....
「相馬の仇討」より 著者:直木三十五
ざね》、萌黄《もえぎ》と白二段分けの腹当に、猩々緋《しょうじょうひ》の陣羽織、金
鍬形を打ったる御兜を一天高しと押いただき……」 土間へ、木戸の暖簾《のれん》を....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
岳から北岳の峰までの、石の草原には、深山薄雪草、深山金梅、トウヤク竜胆、岩梅、姫
鍬形、苔桃などが多いが、その中で、誰の目にもつくのは、長之助草である、この偃地性....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
く。(苦笑す。) 舌長姥思わず正面にその口を蔽う。侍女等忍びやかに皆笑う。桔梗、
鍬形打ったる五枚|錣、金の竜頭の兜を捧げて出づ。夫人と亀姫の前に置く。 夫人 貴....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
い》には、押太鼓
陣鐘たたいて、鬨《とき》の声
さっても、殿御の武者振は
黄金の
鍬形、白銀小実《しろこざね》――
八郎太も、小太郎も、黙って、その唄を聞いて....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
沿うて、橋和屋という料理屋の傍から大崎の田圃に出た。 蓮華、鷺草、きんぽうげ、
鍬形草、暮春の花はちょうど絵具箱を投げ出したように、曲りくねった野路を飾って、久....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
るようにその時心配をした事を記憶しておりますが、実は、聖上御覧の間に、楠公の甲の
鍬形と
鍬形との間にある前立の剣が、風のために揺れて、ゆらゆらと動いているのには実....
「枯尾花」より 著者:関根黙庵
から戛々と音をさせて何か来る者がある、月が有るから透して見ると驚た、白糸縅の鎧に
鍬形打たる兜を戴き、大太刀を佩び手に十文字の鎗を提げ容貌堂々|威風凜々たる武者で....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
しょう》の後継者たる勝川春英《かつかわしゅんえい》を失ひ、続いて漫画略筆の名手|
鍬形※斎《くわがたけいさい》(文政七年歿)を逝《ゆ》かしめ、また歌麿《うたまろ》....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
両方の尖端は尚も上へと延びて岩壁の間に鋭く喰い込んでいる、まるで白銀造りの冑の大
鍬形を押し立てたようである。小窓の頭の最高点から南に突き出して、三窓の北の窓枠と....