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鑑札
「鑑札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鑑札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
わしていた人力車の上の膝掛《ひざか》けをはぐって、蹴込《けこ》みに打ち付けてある
鑑札にしっかり目を通しておいて、
「わたしはこれから歩いて行くから、この手紙をこ....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
からやって来まさアね。ね、木崎さん。悪いことさえしなきゃア、警察なンて、自転車の
鑑札以外に用はねえや。――断っちゃえ。留守だよ、木崎三郎旦那は留守でござんす」 ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いる。前もって宿割の役人を迎え、御宿札というもののほかに関所を通過する送り荷の御
鑑札を渡され、畳表を新しくするとか障子を張り替えるとか、時には壁を塗り替えるとか....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
馬鈴薯)の試植を勧め、養蚕を奨励し、繰糸器械を輸入した。牛馬売買渡世のものには無
鑑札を許さず、下々が難渋する押込みと盗賊の横行をいましめ、復飾もしない怪しげな修....
「狂乱」より 著者:近松秋江
叔父にも来てもらって、話を着け、お繁さんが附き添うて管轄の警察署へ行って、営業の
鑑札を返納して来たというのである。お繁婆さんはなおおかしそうに、 「警察へいても....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
買をはじめた。工女の四五人入れて足踏器械で製糸をやる仙ちゃん、長さんも、即座師の
鑑札を受けて繭買をはじめた。自家のお春っ子お兼っ子に一貫目何銭の掻き賃をくれて、....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
学校の舎監のように安心したのである。 併しダンス教師という職業人は、その職業の
鑑札の手前、警察によって風紀取締りを受けねばならぬのは当然だとして、元来が無職で....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
一枚絵になりそうな御寮人で居たんですがね。あの旦那の飛んだもの好から、洒落にまた
鑑札を請けて、以前のままの、お珊という名で、新しく披露をしました。」と質実に話す....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
州の熊に対するような、本職の、またぎ、おやじの雄ではない。のらくらものの隙稼ぎに
鑑札だけは受けているのが、いよいよ獲ものに困ずると、極めて内証に、森の白鷺を盗み....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
に大事にされた。真に猟を愛する猟人は獲ものを残酷に扱うものではない。そして彼女が
鑑札を受けて大びらで稼ぎに出るとなるとこの探偵は尊敬さえもしてくれた。尊敬するこ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
つ心は失せてしまった。周囲の人達がしきりに止めるのも肯かないで、雛吉は思い切って
鑑札を返納して、素人の大八木お春になった。寄席の明き株を買ってやろうなどと言って....
「瘤」より 著者:犬田卯
ずれもそれ位の付加額がくっついてくる。自転車や牛車などは親類縁者をたよって他村の
鑑札でごまかしたが、家屋税付加などにいたってはそんなからくりも出来ない。農会費、....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
かつぎを勤めたのを名残りとして、当分は舞台に立つ見込みがないので、ひとまず俳優の
鑑札を返納することになった。覇気に富んだ彼としては恐らく堪えがたい苦痛であったろ....
「影」より 著者:岡本綺堂
(睨む。)あんたが野暮天か道楽者か、その見分けが付かないようで、憚りながら芸妓の
鑑札を持っていられるかって云うんだ。モダンの富士|詣でのような風をしていても、あ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
いゝ気になっていた自分の甘さを固くいましめた。警察の呼び出しは、しかし、自転車の
鑑札|並に税金のことだった。ほっとし、以後、税金は収めることにした。自転車はその....