門を潜る[語句情報] » 門を潜る

「門を潜る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

門を潜るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
機会になって、敬太郎はその後《ご》も用事なり訪問なりに縁を藉《か》りて、同じ人の門を潜る事が多くなった。時々は玄関脇の書生部屋へ這入《はい》って、かつて電話で口....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
は、一日の勤めを終わった役所帰りの半蔵である。 その日かぎり、半蔵は再び役所の門を潜るまい、そこに集まる同僚の人たちをも見まいと思うほどのいらいらした心持ちで....
清貧の書」より 著者:林芙美子
》ぎばかりであるのが、だんだん苦痛になって来ていた。 手探りで枳《からたち》の門を潜ると、家の中は真暗で、台所の三和土《たたき》の上には、七輪の炭火だけが目玉....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
道の宣揚のために精進した。 七八つの子供から六十歳以上の老人に到るまで苟も翁の門を潜るものは一日も休む事なく心血を傾けて指導した。その教授法の厳格にして周到な....
旅愁」より 著者:横光利一
へ誘い込んだのも、ちょうどこんな千鶴子だった。 しかし、いずれにしても、今この門を潜るのは少し無謀なことであった。思慮あれば避けるべき筈の場合だったが、門柱の....
変った話」より 著者:寺田寅彦
かもしれない。クリストに云わせても、それほどに健康ではち切れそうだと、狭い天国の門を潜るにも都合が悪いであろう。 あえて半分風邪を引くことを人にすすめるのでは....
ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
持って生れた旦那の性分はいくつに成っても変らなかった。旦那が再び自分の生れた家の門を潜る時は、日が暮れてからでなければそれが潜れなかった。そんな思いまでして帰っ....
嬰寧」より 著者:田中貢太郎
道をさしはさみ、それが入口の階段にちらちらと散っていた。西へ折れ曲ってまた一つの門を潜ると、豆の棚と花の架とが庭一ぱいになっていた。老婆は王を案内して家の内へ入....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
合、これでご免」 「謹慎の身の上、お見送り致さぬ」 で弓之助は下屋敷を辞した。門を潜ると駕籠へ乗った。 駕籠は一散に宙を飛んだ。 間もなく甲斐守の屋敷へ着....
光は影を」より 著者:岸田国士
しかに「味岡」という標札を見届けておいたので、今日は、なんの不安もなく、その家の門を潜ることかできたのである。 「お忘れになりましたか? 僕、京野です。京野等志....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
にこの箴言の存する現代にあって、人は、自己の中に政治家を所有しなければ、思想界の門を潜ることはできないであろう。何故なら価値の標準を決するのは政治家の爼上におい....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
だのう」 佐渡はつぶやいて、室内の隈にまで眼をやった。――主の幸村とは、土塀の門を潜る時もう会っている。 しかし、案内をうけて、ここに坐ったきりで、挨拶はま....