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「門並〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

門並の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
わんばかりにそこそこ家を出た。細い釘店《くぎだな》の往来は場所|柄《がら》だけに門並《かどな》みきれいに掃除されて、打ち水をした上を、気のきいた風体《ふうてい》....
京に着ける夕」より 著者:夏目漱石
の間《ま》にやら幅一間ぐらいの小路《しょうじ》に出た。この小路の左右に並ぶ家には門並《かどなみ》方一尺ばかりの穴を戸にあけてある。そうしてその穴の中から、もしも....
」より 著者:夏目漱石
よ》ったなり、宗助の帰りを待ち受けた。 宗助は例刻に帰って来た。神田の通りで、門並《かどなみ》旗を立てて、もう暮の売出しを始めた事だの、勧工場《かんこうば》で....
新生」より 著者:島崎藤村
は久しぶりで自分の家を離れる思をした。彼は怪しく胸騒ぎのするような心持をもって、門並《かどなみ》に立ててある青い竹の葉の枯れ萎《しお》れたのが風に鳴るのを俥の上....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「その大工の子供や、紙屑屋の子供が、はやり病いで死んだのならば仕方がありません。門並に葬礼が出ても不思議がないんですが、そこに少し気になることがあったもんですか....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
いつけていたのだが、洋行後は時々バスに乗るようになった。窓から比較的ゆっくり街の門並の景色も見渡して行けるし、三四年間居ない留守中に、がらりと変った日本の男女の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
宵に限ったことではない、町の人はこの二三日の晩のある一定の時刻になると、こうして門並《かどなみ》に立って、 「それ出た、それ出た」 というのであります。 何が....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
門通りも大丸からさきの方は、長谷川町、富沢町と大呉服問屋、太物《ふともの》問屋が門並《かどなみ》だが、ここらにも西陣の帯地や、褂地《うちかけじ》などを扱う大店《....
震災日記より」より 著者:寺田寅彦
ころではほとんど何事も起らなかったかのように森閑として、春のように朗らかな日光が門並を照らしている。宅の玄関へはいると妻は箒を持って壁の隅々からこぼれ落ちた壁土....
越後獅子」より 著者:羽志主水
等《おら》が女房を賞めるじゃ無いが」 に来た時、ア、其処です其処ですと怒鳴った。門並に延寿の話《かた》るやかましさ (主水) (一九二六年十二月)....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
別に一戸を構えると小林家にもまた妻らしい女を迎えた。今なら重婚であるが、その頃は門並が殆んど一夫多妻で、妻妾一つ家に顔を列べてるのが一向珍らしくなかったのだから....
深川の唄」より 著者:永井荷風
に見える。自分は永代橋の向岸《むこうぎし》で電車を下りた。その頃は殆《ほとん》ど門並《かどな》みに知っていた深川の大通り。角《かど》の蛤屋《はまぐりや》には意気....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
気がつく。これが君江の通勤しているカッフェーであるが、見渡すところ殆《ほとん》ど門並《かどなみ》同じようなカッフェーばかり続いていて、うっかりしていると、どれが....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
飲み物屋の数も実に多い。殊に震災後|著しくふえて、どうかすると表通りだけでも殆ど門並だというような気がする。そしてそれらは皆それ/″\のちがった特長を有し、それ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
こは僕の住んでいた元町通りに比べると、はるかに人通りも少ければ「しもた家」も殆ど門並みだった。「椎の木松浦」のあった昔は暫く問わず、「江戸の横網鶯の鳴く」と北原....