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門札
「門札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
門札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
痛どころではない、それが幸いであり誇りであった。門には「木村」とだけ書いた小さい
門札《もんさつ》が出してあった。木村という平凡な姓は二人の楽しい巣を世間にあばく....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
学校の授業を済まして帰って来ると、門口にのそりと立って、頤を撫でながら、じろじろ
門札を視めていたのが、坂田礼之進。 早やここから歯をスーと吸って、先刻からお待....
「春昼」より 著者:泉鏡花
処に宿るであろう。巡礼たちが霊魂は時々|此処に来て遊ぼう。……おかし、一軒一枚の
門札めくよ。 一座の霊地は、渠らのためには平等利益、楽く美しい、花園である。一....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
向けに手をじゃれながら足許を転がって行きます。夢のようにそのあとへついて、やがて
門札を見ると指した家で。 まさか奥様に、とも言えませんから、主人に逢って、――....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
はある。が、表のこの町内は、俺が許と、あと二三軒、しかも大々とした邸だ。一遍通り
門札を見ても分る。いやさ、猫でも、犬でも分る。 一体、何家を捜す? いやさ捜さ....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
ように頭を振った。 「お願だ、お願だ。精霊大まごつきのところ、お馴染の私が媽々の
門札を願います、と燈籠を振廻わしたもんです。 母様は、町内評判の手かきだったか....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
島野は瘠ぎすで体も細く、釣棹という姿で洋杖を振った。 「見た、何さ、ありゃ。
門札の傍へ、白で丸い輪を書いたのは。」 「井戸でない。」 「へえ。」 「飲用水の....
「河霧」より 著者:国木田独歩
その扇めいた太い葉が風にあおられながらぴかぴかと輝っている。 豊吉はうなずいて
門札を見ると、板の色も文字の墨も同じように古びて「片山四郎」と書いてある。これは....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
田さんも存命であらばよほどの高齢と思われる。その後どこかへ引移ったものであろう。
門札は名前が変っていた。入口にあった御柳も姿を見せない。 その当時、鶴見の仮寓....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
った拙者の腹の虫、ちと納まりかねるにより、少し無礼とは存じ申すが、表にかけられた
門札を外し、小脇に抱えて歩き出した。 呆れ返ったのは浪之助で、黙々として物も云....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
家が一軒。 江崎とみ、と女名前、何でも持って来いという意気|造だけれども、この
門札は、さる類の者の看板ではない、とみというのは方違いの北の廓、京町とやらのさる....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ゃ仕方がない、姉さん、お前さんの身体に手を懸けますよ。」と断って立懸る、いずれも
門札を出した、妻子もあろうという連中であるから、事ここに及んでも無法に拳は握らぬ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ばらくになった。 「じゃ、お内のお嬢さんは柳屋さんというんですね、屋号ですね、お
門札の山下お賤さんというのが、では御本名で。」 「いいえさ、そりゃ私の名だあね。....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
った夕暮、偶っと森林太郎という人の家はこの辺だナと思って、何心となく花園町を軒別
門札を見て歩くと忽ち見附けた。出来心で名刺を通じて案内を請うと、暫らくして夫人ら....
「活人形」より 著者:泉鏡花
地の家は、昔|何某とかやいえりし大名|邸の旧跡なるを、今は赤城得三が住家とせり。
門札を見て、「フム此家だな。と門前に佇みたるは、倉瀬泰助という当時屈指の探偵なり....