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閉口
「閉口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
閉口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
けの、反抗心を起していたのに相違ない。何にしても、あの眇が相手では、いくら己でも
閉口するはずだ。」
馬琴は苦笑しながら、高い空を仰いだ。その空からは、朗かな鳶....
「河童」より 著者:芥川竜之介
《かっぱ》の国から帰ってきた後《のち》、しばらくは我々人間の皮膚の匂《にお》いに
閉口しました。我々人間に比べれば、河童は実に清潔なものです。のみならず我々人間の....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
あとで何膳ずつかに分ける段になると、その漆臭いにおいが、いつまでも手に残ったので
閉口した。ちょっと嗅《か》いでも胸が悪くなる。福引の景品に、能代塗の箸は、孫子の....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
うふし》になる仙人の術を教えて貰いたいと思いますが。」
権助にこう云われると、
閉口したのは主人の医者です。何しろ一文も給金をやらずに、二十年間も使った後《あと....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
めた弘法麦の中へうっかり足を踏み入れると、ふくら脛《はぎ》の痒《かゆ》くなるのに
閉口したから。)そんなことを話して歩いて行った。気候は海へはいるには涼し過ぎるの....
「親子」より 著者:有島武郎
だったが、どうした癖か、唇を締めておいて、ぷっぷっと唾を霧のように吹き出すのには
閉口した」 そんなことをおおげさに言いだして父は高笑いをした。監督も懐旧の情を....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
、生きようとする欲求は消えないものらしい。 六 いささか長いに
閉口するだろうが、いま一節を君に告げたい。この春東京へは突如として牛疫が起こった....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
夫をもった姉は、つねにしんみりした話に飢えている。予はずいぶんそのらちもなき話に
閉口するときがあるけれど、生まれるとから手にかけた予をなつかしがっていると思うて....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
ら許す気にはなれませんでした。 「Yの無遠慮もいいけれど、この頃のようだと本当に
閉口しますわ。」 私はよくOに向ってこぼしました。 「どうして?」 「どうして....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
胸にはありしなり。さりければなおさらに学問を励み、新たに来る教師には難問をかけて
閉口させ、後には父にも伯父にも口を開かせぬ程になり、十五の歳新潟へ出て英学をせし....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
って、それにインキで、輪のようなものを、目茶苦茶に悪書をしてある。主人も、非常に
閉口したので、警察署へも依頼した、警察署の連中は、多分その家に七歳になる男の児が....
「西航日録」より 著者:井上円了
う悪かろう」といえるがごとく、夜中南京虫に攻められ、ほとんど安眠を得ざるには実に
閉口せり。夕刻より街上の雑踏、コーヒー店の群集、あたかも先年博覧会のときのごとし....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
が盆おどりに似たり。これを見物するは、また船中の一興なり。ただ臭気の襲い来たるに
閉口せり。 四月一日横浜出港以来、九月十四日ブラジル首府リオデジャネイロに着港....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
ぽかあたたまってきたが、すっかり風邪をひいたらしく、しきりにくしゃみがでるのには
閉口したよ。落ちついてみると、ぼくの下宿のある街にきてたんだ」 透明人間は、ケ....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ちに日本銀行で重要な地位につかれたとの話もきいたが、この牛乳と卵攻めにはずいぶん
閉口されたことだろう。お雪はそれをいつも気の毒がっていた。こうして共かせぎを続け....