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閑散
「閑散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
閑散の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
おびただ》しくある事柄の一つに過ぎないからだ。そんな事を重大視する程世の中の人は
閑散でない。それは確かにそうだ。然しそれにもかかわらず、私といわず、お前たちも行....
「路上」より 著者:梶井基次郎
気持を、自分はかなりその道に馴《な》れたあとまでも、またしても味わうのであった。
閑散な停留所。家々の内部の隙見える沿道。電車のなかで自分は友人に、 「旅情を感じ....
「若杉裁判長」より 著者:菊池寛
まして、脅迫状が舞い込んでからの一部始終を訴え出でました。長い間、事件が無くて、
閑散に苦しんでいた警察は、この訴えをきいて蘇《よみがえ》ったように活動を始めまし....
「世相」より 著者:織田作之助
は、色気も悩ましさもなく、古い写真のように色あせていた。踊子の太った足も、場末の
閑散な冬のレヴュ小屋で見れば、赤く寒肌立って、かえって見ている方が悲しくうらぶれ....
「階段」より 著者:海野十三
生に通じてしまった。やがて部員の配置表が出来て、僕は前にも云ったとおり、比較的|
閑散な信濃町駅を守ることとなった。 「古屋君、それじゃ御苦労だが、『信濃町』の午....
「赤外線男」より 著者:海野十三
の特徴を記憶している者が殆んど無いという全くおかしな話だった。尤もホームは至って
閑散で、そんなことには超人的な記憶力をもっている若い男たちが、幸か不幸かその近所....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
四月二十七日 ◯この日記をしばらく休んだ。休んだわけは忙しさのためと、空襲の
閑散化のため。といっても、帝都空襲が
閑散化したわけであって、B29の日本空襲が減....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
で腐って、ポカンと穴があいたらしい。まだ宵だというに、番頭のそうした処は、旅館の
閑散をも表示する……背後に雑木山を控えた、鍵の手|形の総二階に、あかりの点いたの....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
る人は、誰もいませんの。…… 七月も終りになってから、美沢の通っている練習所も
閑散で、練習はほとんど休みになったので、美沢は大抵家にいた。 この手紙も、昼を....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
たのは鶴見の家が旧臣のことであり、鶴見の父親の厳格な性行が認められ、その上に家は
閑散であり、そこに入れておけば、自然に茶道などの風雅な教養の下に好感化を及ぼすだ....
「気の毒な奥様」より 著者:岡本かの子
客の前に華やかなラヴ・シーンが映し出されていました。正面玄関の上り口では、やっと
閑散の身になった案内係の少女達が他愛もないおしゃべりに夢中になっていました。 ....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
た。彼は話題を他へ持って行くほかなかった。 「でも近頃は節季近くと違って、幾らか
閑散なんだろうね。それに一体にこの区内では余り大した事件が無いようだが、そうでも....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
髴としておる。 拝啓、今日は支那の十二月二十八日にて学校も冬期休業中ゆゑいたって
閑散なるべき理窟なれど小生の職務は学堂庶務会計一切の事宜を弁理するにありと支那流....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
沸くがごとし。後に投票を行い、その多数を得たるものに賞品を与えり。これまた船中の
閑散無事を破る良案なり。 七月一日、曇り。北風いよいよ強く、白浪海面に連なるも....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
が悪いので、そこそこに飛び出したが、いったいどういう家なのだろうな。何でも極めて
閑散なものだったよ。 それから、遊廓の大通りへかかると、向うの木橋から、白い服....