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閑日月
「閑日月〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
閑日月の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「将軍」より 著者:芥川竜之介
ヴァナを啣《くわ》えながら、ぼんやり安楽椅子によりかかっていた。
二十年余りの
閑日月《かんじつげつ》は、少将を愛すべき老人にしていた。殊に今夜は和服のせいか、....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
カ月間、焦慮に焦慮を重ねている間にも、俺の作品は中田博士の書棚の一隅で、悠々たる
閑日月を送っていたのだった。「いよいよ発表することになったのですか。それは結構で....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
らめたようでしたが、宵《よい》の五つ半といえばまだだいぶ間がありましたから、名人
閑日月のたとえどおりごろりと横になると、ここちよげに午睡の快をむさぼりだしました....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
、ひと寝入りしようぜ」 先にたってかっこうなくぼみを見つけると、いつもながらの
閑日月、すでにもう夢の国の人でした。 ――かかるうちにも、しだいに時はたって、....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
のでしたから、右門はすばらしく朗らかにいったものです。 「さ、伝六、これから英雄
閑日月というやつだ。きさまにも今夜ちっとばかり目の毒になることを見せてやるから、....
「野分」より 著者:夏目漱石
そう云う了簡どころではない。あらゆる学問のうちで、文学者が一番|呑気《のんき》な
閑日月《かんじつげつ》がなくてはならんように思われていた。おかしいのは当人自身ま....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
佐賀の乱に殪れ、後藤氏は政界を去りて実業に当たり、副島氏は東京にありて高談雅話に
閑日月を送る。ここにおいて政府の反対者たる政事家はただ九州と四国とに蟠踞していわ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
い。金扇のかがやきは高くかかげられても、山陽道まで進もうとはしない。大軍が悠々と
閑日月を送る地は豊臣氏の恩沢を慕うところの大坂である。ある人の言葉に、ほととぎす....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
に見える。一派の将は同時に一つの雑誌の経営者でなければならない。風雅の誠をせめる
閑日月に乏しいのは誠にやむを得ない次第である。既得の領土に安住を求むるか、センセ....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
ていた時代なので、月に一回のこうした清遊は、実に沙漠の中のオアシスであり、忙中の
閑日月であって、この上もなく楽しいものに思えた。それは私が一生のうちに見た美しい....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
十有余にて、住民|殆ど四五十なるが、いずれも俗塵を厭いて遯世したるが集りて、悠々
閑日月を送るなり。 されば夜となく、昼となく、笛、太鼓、鼓などの、舞囃子の音に....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
碗を取りあげて、ひとりで苦しんで喫してあるべき運命の前提のようにも思われた。父は
閑日月の詮議よりもむしろその方をよろこんでいたのだろう。そこに父の平生抑えていて....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
ったろう。 それにしても、この写真には、おどろいたな。死刑囚だね。 死刑囚の
閑日月としか見えない写真に、良いような、悪いような、良いような、その物ズバリ的な....
「組織としての図書館へ」より 著者:中井正一
颯爽と、この図書館の改良に着手したのである。戦争という現実が、国会図書館をして、
閑日月を楽しむ底の読書機構であることをゆるさなかったのではあろうが、この大任に敢....
「国会図書館のこのごろ」より 著者:中井正一
音、電話の交錯、交渉、訓練等々目のまわるような忙がしさで、一日が終わってしまう。
閑日月の中に明窓浄机で本を読む世界と遠く離れた世界である。一冊も本を読めない私の....