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間延び
「間延び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
間延びの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
れてきたことなんだ。『|神にして狂う』河攻撃の計画の疎漏を、僕が指摘したので一年
間延びた。そのあいだ、ぶらぶらリオ・デ・ジャネイロで遊んでいるうちに、偶然『水棲....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
を踏み踏み幾十羽の小鳥が庭の木立で啼いている。声を涸らした老鶯が白い杏の花の間で
間延びに経を読んでいる。山国の春の最中らしい。 「甚兵衛」 と不意に庄三郎は呼....
「観画談」より 著者:幸田露伴
たような音がした。するとやがて人の気はいがして、左方の上り段の上に閉じられていた
間延びのした大きな障子が、がたがたと開かれて、鼠木綿が斑汚れした着附に、白が鼠に....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
女学生やバスガアルの帽子を見るに、何ゆえか素晴らしく大きなもので、殊に前後へ
間延びしている。師直が冠る帽子の如く、赤垣源蔵のまんじゅう笠でもある。 一体、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
にしてからが、性急な調子で言っては雛妓たちを八重に驚かす憂いがあるから、つとめて
間延びのした声で「おーい」と言いましたから、その声に安心して、待ってましたとばか....
「電車と風呂」より 著者:寺田寅彦
していた。あまり緊張が弛んだために眠くなって困った。米国へ渡ってもやはり人の顔が
間延びがして呑気に見えた。前に引合に出した米国の学者が緊張し過ぎているといってる....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
も同じです。お前さんはなおいっそう幸福になるでしょう。」 ジャックリーヌの顔は
間延びて、不平げな様子になった。 「私いやですわ。」と彼女は言った。「そんなでは....
「土地に還る」より 著者:豊島与志雄
ことで、それは全く書信の気合をそぐことになるのです。それとも、世人の気合がずっと
間延びしたものとなれば、話は別になるのでしょう。――そのようなことを、逓信従業員....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
き渡っている証拠である。丸味を帯びた細い眉、切長で涼しくて軟らか味のある眼、少し
間延びをしているほど、長くて細くて高い鼻、ただし鬘だけは刷毛先を散らし、豪勢|侠....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
さか距離が遠過ぎる」 「……が、あの悲鳴は? 消えた提灯は?」 「それがさ、変に
間延びしている」 「殺人ではないのかえ?」 「ナーニ誰も殺されはしない」 ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ござんすかね」
「へーい、さようでございますよ」鴫丸はまたも得意そうなようすを、
間延びした声に籠らせたが、「あの時は大津で打っていました。お妻太夫さんが目付かり....
「魔都」より 著者:久生十蘭
にタキシードの膝を嬌めかしく崩し、オークル二十八番のグリスペイントで薄化粧をした
間延びた面をポッと上気させ、思わせぶりな科《しぐさ》で盃をふくんでおりますのは、....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
うに聞こえていた。客に接している番頭が、長い節をつけて品物の名を呼ぶと、小僧が、
間延びした声でそれに答えながら、蔵から反物《たんもの》をかつぎ出すのである。おと....
「九代目団十郎の首」より 著者:高村光太郎
しろなだらかで地道である。顴骨から鼻の両側に流れる微妙な肉、そして更に下顎に及ぶ
間延びのした大顴骨筋と咬筋とそれを被う脂肪と、その間を縫うこまやかな深層筋の動き....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
それは個人としてはもちろん慶賀に堪《た》えないけれども、もういっぺん今日の少うし
間延びのしすぎた話法でなく、あの日あの頃の弾みきった呼吸を取り戻してもらいたいも....