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閾
「閾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
閾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
》」とか「きょうは如何ですか」とか言葉をかけるのを常としていた。しかし「離れ」の
閾《しきい》の内へは滅多に足も入れたことはなかった。それは舅《しゅうと》の肺結核....
「路上」より 著者:芥川竜之介
もよりは一層|溌剌《はつらつ》と外光に背《そむ》いて佇《たたず》んでいた。俊助は
閾《しきい》の上に立ったまま、眩しいような感じに脅《おびや》かされて、
「あなた....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
興味も何もなかったんだがね。それだけに反《かえ》って気味が悪いんだ。何だか意識の
閾《しきい》の外にもいろんなものがあるような気がして、………」
「つまりマッチへ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
す。私は当時の恐しい印象を忘れようとしても、忘れる事は出来ません。私の立っている
閾《しきい》の上からは、机に向って並んでいる二人の横顔が見えました。窓から来るつ....
「或る女」より 著者:有島武郎
てその大きな名刺を手に受けた。そして自分の部屋《へや》ときめられたその部屋の高い
閾《しきい》を越えようとすると、
「事務長さんはそこでしたか」
と尋ねながら田....
「或る女」より 著者:有島武郎
がほこりにまぶれ汗にまぶれて紅葉坂をすたすたと登って帰って来るまでも葉子は旅館の
閾《しきい》をまたがずに桜の並み木の下などを徘徊《はいかい》して待っていた。さす....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
いいだした。仁右衛門は卑下して出た笠井にちょっと興味を感じて胸倉から手を離して、
閾《しきい》に腰をすえた。暗闇の中でも、笠井が眼をきょとんとさせて火傷《やけど》....
「星座」より 著者:有島武郎
ゃになってしまったのを感じた。そういえばかんかんと日の高くなった時分に、その家の
閾《しきい》を跨《また》いで戸外に出る時のいうに言われない焦躁《しょうそう》がま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
憶を私の心からきれいにぬぐい取ってしまおうとしていたのだ。君はだんだん私の意識の
閾を踏み越えて、潜在意識の奥底に隠れてしまおうとしていたのだ。 この短からぬ時....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
道徳として厳存する。然し私の生活がそれらを乗り越してしまうと、知識も道徳も習性の
閾の中に退き去って、知識|若しくは道徳としての価値が失われてしまう。私が無意識に....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
たのもその祟りだと仮想する)。費用は阿Qの負担とす。 三、阿Qは今後決して趙家の
閾を越えぬ事。 四、呉媽に今後意外の変事があった時には、阿Qの責任とす。 五、阿....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
来、道を歩いても飯を食っても睡眠しても、何と朗らかなものであろう。ただこの一本の
閾、一つの関所があればこそ、彼らは親子、兄弟、夫婦、朋友、師弟、仇敵、各々相|識....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
う声がした。よく聞き慣れた声だが眼の前には誰もいない。伸び上って見ると櫃台の下の
閾の上に孔乙己が坐っている。顔が瘠せて黒くなり何とも言われぬ見窄らしい風体で、破....
「風波」より 著者:井上紅梅
鉢やテーブルを片附け、家に入って門を閉めた。 七斤は欠け碗を持って部屋に入り、
閾の上に腰掛けて煙草を吸ってみた。何しろ非常な心配事で、吸い込むのを忘れていると....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
ったらしい。 Yはその後も度々故郷へ行ったり上京したりしたが、傷持つ足の自ずと
閾が高くなって、いつも手紙をよこすだけでそれぎり私の家へは寄り附かなくなった。が....