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「阿呆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

阿呆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十本の針」より 著者:芥川竜之介
人々を他の人々から截《き》り離す一すじの溝《みぞ》は掘られている。それらの人々は阿呆《あほう》ではない。が、阿呆以上の阿呆である。それらの人々を救うものはただそ....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
も、腰をそらせて、ひとしきり東鴉《あずまがらす》のような笑い声を立てた。 「あの阿呆《あほう》をね。たれがまあ手をつけたんだか――もっとも、阿濃《あこぎ》は次郎....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
殿の御内《みうち》でないものがいたと思え。そのものこそは天《あめ》が下《した》の阿呆《あほう》ものじゃ。」 若殿様はこう仰有《おっしゃ》って、美しい歯を御見せ....
河童」より 著者:芥川竜之介
あいさつ》の代わりにこう大音楽家へ問いかけました。 「どうするものか? 批評家の阿呆《あほう》め! 僕の抒情《じょじょう》詩はトックの抒情詩と比べものにならない....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
或物質主義者の信条 「わたしは神を信じていない。しかし神経を信じている。」阿呆 阿呆はいつも彼以外の人人を悉《ことごと》く阿呆と考えている。 ....
蠅男」より 著者:海野十三
。 「お父つぁん。きっと心当りがおますのやろ。隠さんと、うちに聞かせて――」 「阿呆いうな。蠅男――なんて一向知らへんし、第一、お父さんはナ、人様から恨みを受け....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
とした咳でぷつんと切れることもあるのであろう。 だからそんな心配をしているのは阿呆というべきであろう。もちろん無茶をしてはいけないが、こうしたら喀血出血するか....
闖入者」より 著者:大阪圭吉
のか大月はさっさと二階へ上っていった。そして東室の窓を開けると、手摺に腰掛けて、阿呆のように外の景色に見惚れはじめた。 いつ見ても、晴れた日の樹海の景色は美し....
大脳手術」より 著者:海野十三
の口絵にある印刷した美人画みたいなものだぜ。そういうものに熱中する君は、よほどの阿呆だ」 「……」 これは痛い言葉だった。私は終日不愉快であった。鳴海の奴は、....
四次元漂流」より 著者:海野十三
冗談をいってるんだ。もう帰ってもらおう」 「いや、僕はまちがいなく本気です」 「阿呆は、きっとそういうものだ、自分は阿呆じゃないとね」 あまり蜂矢がまじめくさ....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
めだ」 と、つぶやきながら横を向いてしまった。飛行島のアンテナ線にとまっていた阿呆鳥の群が、このとき白い糞を下におとして、藍をとかしたような大空にぱっと飛び立....
歯車」より 著者:芥川竜之介
人公の精神的闘争は一々僕には痛切だった。僕はこの主人公に比べると、どのくらい僕の阿呆だったかを感じ、いつか涙を流していた。同時に又涙は僕の気もちにいつか平和を与....
孔乙己」より 著者:井上紅梅
やかし始めた。 「孔乙己、お前は本当に字が読めるのかえ」 孔乙己は弁解するだけ阿呆らしいという顔付で、その人を眺めていると、彼等はすぐに言葉を添えた。 「お前....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
い利を入れようと思っても入れずにしまい、まして忰にそのことを話してきかせるのなど阿呆の限りと、そのまますっぽかしてしまう年が多かった。お蔭でいまでは随分の元利合....
」より 著者:犬田卯
んて、野郎。あらかた倍でもきくめえ。あんなもの誰が、それでは――って買えるけえ。阿呆にも程度ちうものがあらア。――だが、一方ではそれを打ち消して、しかし、反七俵....