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「附く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

附くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
を前に、胸を反らせて、煙管を逆に吹口でぴたり戸外を指して、ニヤリと笑ったのが目に附くと同時に、四五人|店前を塞いだ書生が、こなたを見向いて、八の字が崩れ、九の字....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
してくれた。然し誠実とはそんなものでいいのだろうか。私は八方|摸索の結果、すがり附くべき一茎の藁をも見出し得ないで、已むことなく覚束ない私の個性――それは私自身....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
した男が、不平相にあたりを見廻して居たが、一人の巡査が彼を見おろして居るのに気が附くと、しげしげそれを見返して、唾でも吐き出す様に、 畜生。 と云って、穢らわ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
をすっと飛んだ。――この蝶が、境内を切って、ひらひらと、石段口の常夜燈にひたりと附くと、羽に点れたように灯影が映る時、八十年にも近かろう、皺びた翁の、彫刻また絵....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
立つ。閑静な処をお望み、間数は多し誂え向き、隠居所を三間ばかり、腰元も二人ぐらい附く筈と、御子息から相談を打たっしゃると、隠居と言えば世を避けたも同様、また本宅....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
白く仰向いて、月に小鼻を照らされた流しの按摩が、呼ばれたものと心得て、そのまま凍附くように立留まったのも、門附はよく分らぬ状で、 「影か、影か、阿媽、ほんとの按....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
思ってるんで。……どうもね、ただこう、迷児と呼んだんじゃ、前方で誰の事だか見当が附くめえてね、迷児と呼ばれて、はい、手前でござい、と顔を出す奴もねえもんでさ。」....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
見廻りにいらしったかと思ったんです。」 と、見迎えて一足|退いて、亜鉛塀に背の附くまで、ほとんど固くなった与五郎は、たちまち得も言われない嬉しげな、まぶしらし....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
がのう。お社の柵の横手を、坂の方へ行ったらしいで、後へ、すたすた。坂の下口で気が附くと、驚かしやがらい、畜生めが。俺の袖の中から、皺びた、いぼいぼのある蒼い顔を....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
ちらへか片附いたらと、体の可いまあ厄介払に、その話がありましたが、あの娘も全く縁附く気はございませず、親身といっては他になし、山の奥へでも一所にといいたい処を、....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
にもせぬのであった。 「店ぐるみ総じまいにして、一箇々々袋へ入れたって、もう片が附く時分じゃないか。」 と呟くうちに真面目になった、銑太郎は我ながら、 「串戯....
黒百合」より 著者:泉鏡花
暗い中へ、ちょろりと入って隠れてしまった。 新庄通れば、茨と、藤と、 藤が巻附く、茨が留める、 茨放せや、帯ゃ切れる、 さあい、さんさ、よん....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ァ若月……汝、よく来てくれた……。』 私は心から嬉しく、しきりに自分にまつわり附く愛馬の鼻を、いつまでもいつまでも軽く撫でてやりました。その時の若月のうれしげ....
三枚続」より 著者:泉鏡花
暗がりを啣え楊枝、月夜には懐手で、呑気に歩行いてると、思いがけねえ狂犬めが噛附くような塩梅に、突然、突当る奴がある、引摺倒す奴がある、拳固でくらわす奴がある....
活人形」より 著者:泉鏡花
炊にて、お録といえる老婆なり。 得三は声鋭く、「お録、下枝をどこへ遁した。と睨附くれば、老婆は驚きたる顔を上げ、「へい、下枝|様がどうかなさいましたか、「しら....