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陋劣
「陋劣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陋劣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
高と見えるまでに極端な潔癖屋だった彼であったのに、思いもかけぬ貪婪《どんらん》な
陋劣《ろうれつ》な情欲の持ち主で、しかもその欲求を貧弱な体質で表わそうとするのに....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
高潔純正をよろこび、高い理想の文芸を味おうてる身で、生活上からは凡人も卑しとする
陋劣な行動もせねばならぬ。八人の女の子はいつかは相当に婚嫁させねばならぬ。それぞ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
やらんだろうし、汁で縮むレットリンゲル紙を指に巻いて、引金に偽造指紋を残すような
陋劣な手段にも出まい。云わば、いっさいの陰険策を排除した騎士道精神なんだよ。しか....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
戸氏に求めた時の至情は、いざ金を出すと云う際に、忽ちその影は潜めて、彼の半面醜い
陋劣な心事が赤裸々に現われて来るのだった。此の点では彼は二重人格者であると云う事....
「東京八景」より 著者:太宰治
の、様々の情ない自分の姿を、私は、みんな知っている。忘れられない。私は、日本一の
陋劣な青年になっていた。十円、二十円の金を借りに、東京へ出て来るのである。雑誌社....
「新ハムレット」より 著者:太宰治
まり、ふいと恐ろしい手段を考えました。ただいまハムレットさまのおっしゃったような
陋劣な事を考えました。けれども、ポローニヤスは、不忠の臣ではありません。それは、....
「惜別」より 著者:太宰治
れなく」という事を強調したのだろう、くらいに軽く考えていた。しかし、それは矢島の
陋劣なあてこすりだったのだ。そこには藤野先生も周さんもいるから、試験問題の「漏洩....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
だが、ここでさえも、私が紳士としての身分からまったく堕落して、職業的の賭博者の
陋劣きわまる手管を覚えこもうとし、また、その卑劣な術策の達人になってからは、いつ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
等は祖先からの由緒をたてに、官憲の高圧的な手段に対しての反抗、または買収の手段の
陋劣に対する私憤、その他種々なからみまつわった情実につれて、死んでも買収には応じ....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
由か知らぬが、校長がぼくの家へ見舞いにきただけで政党が校長を排斥するのはあまりに
陋劣だ。 小原のいうごとく久保井先生のようなりっぱな校長はふたたび得られない。....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
けのわからない目算のために、神学的な論文を冗談半分に雑誌に載せている。そしてその
陋劣《ろうれつ》さを、自分でちゃんと承知しているのだ。それにまだ、兄のミーチャか....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
でき上がり、マドレーヌさんはマドレーヌ氏となっていた。
警察のある種の役人は、
陋劣《ろうれつ》と権威との交じった複雑な特別な相貌をそなえてるものである。ジャヴ....
「風博士」より 著者:坂口安吾
に慨嘆の至に堪えんではない乎! 高尚なること※の木の如き諸君よ、諸君は何故彼如き
陋劣漢を地上より埋没せしめんと願わざる乎。彼は鬘を以てその禿頭を瞞着せんとするの....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
うな事件を醜悪化するところの、またこの国の国事犯裁判に充満しているところの、あの
陋劣で破廉恥な性質の証拠の他には、何等拠るべきものがないのである、ということ。し....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
しています。即疼痛に対しては、絶※と、涙とを以て答え、虚偽に対しては憤懣を以て、
陋劣に対しては厭悪の情を以て答えているです。私の考ではこれがそもそも生活と名づく....