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「限りない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

限りないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
いつ終るとも見えぬながいながい接吻、あの接吻こそやがて女のすべてを我が物にする、限りない幸福に一切のものを忘れさしてしまうのだ。 こうした遠く過ぎ去った旧い愛....
狂人日記」より 著者:秋田滋
パを横切り、その昇降口から眺めてみよ。ひと、ひと、ひと、どこまで行っても人だ。数限りない見知らぬ人が、野にも町にも、うようよと動いている。そこには耕すことしか知....
」より 著者:秋田滋
声は、わたくしの心を奪うのでした。彼女のからだ全体が、それを見ているわたくしに、限りない悦びを催させるのでした。わたくしにはまた、どうしても初めて会ったという気....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
愛するのか。あのどちらかと言えば、泥濁《どろにご》りのした大川のなま暖かい水に、限りないゆかしさを感じるのか。自分ながらも、少しく、その説明に苦しまずにはいられ....
」より 著者:芥川竜之介
《さんじょ》と墓とを兼ねた、紗《しゃ》のような幕の天井の下に、天職を果した母親の限りない歓喜を感じながら、いつか死についていたのであった。――あの蜂を噛み殺した....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
上達部殿上人《かんだちめてんじょうびと》は申すまでもなく、女房たちの参ったのも数限りないほどでございましたから、東西の廊に寄せてあるさまざまの車と申し、その廊廊....
偸盗」より 著者:芥川竜之介
は空も見なかった。道も見なかった。月はなおさら目にはいらなかった。ただ見たのは、限りない夜である。夜に似た愛憎の深みである。太郎は、狂気のごとく、弟の名を口外に....
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
IFELIKE な湖水の水に変わるまで、水は松江を縦横に貫流して、その光と影との限りない調和を示しながら、随所に空と家とその間に飛びかう燕《つばくら》の影とを映....
」より 著者:池谷信三郎
ころ、まだ意識がやっと牛乳の罎から離れたころから、もう、自分を見る眼つきの中に、限りない憎悪の光が宿っているって、そう言っては父を困らしたんですって。お継母さん....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ながめながら、さまざまの空想を描くのだった。十六歳の私の胸は洋々と開けるはずの、限りない前途への期待におどるのだ。 しかし給料については最初の約束と違うので私....
軽女」より 著者:上村松園
そだち、淑やかな立居の中に京娘のゆかしさを匂わせている、あのお軽には、わたくしは限りない好ましさを感じるのである。 山科に隠栖し、花鳥風月をともにして、吉良方....
中支遊記」より 著者:上村松園
汪精衛主席に会う都合がついたからと公館に挨拶に出かけることになった。 此処も数限りない菊の真っ盛りであった。大きな亀甲模様の床、深々とした椅子、その大広間にも....
冷かされた桃割娘」より 著者:上村松園
園さん、絵専の中井宗太郎教授の姉さんは今もなお御健在です。思えば瞼に写る走馬燈は限りない絵草子を拡げます。 (昭和十一年)....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
友人)とも疎縁となって、折々の会合で同席する位に過ぎなかったが、それでも憶出せば限りない追懐がある。平生往来しない仲でも、僅か二年か三年に一遍ぐらいしか会わない....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
だが、有体に平たくいうと、初めから二十八年と予定して稿を起したのではない。読者の限りない人気に引き摺られて次第に延長したので、アレほど厖大な案を立てたのでないの....