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「陣場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陣場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
メリイクリスマス」より 著者:太宰治
、ひどいアパートであった。薄暗い廊下をとおり、五つか六つ目の左側の部屋のドアに、陣場という貴族の苗字が記《しる》されてある。 「陣場さん!」と私は大声で、部屋の....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
に無刀、扇子をさして、西の宿境までそれらの一行をうやうやしく出迎える。そして東は陣場か、峠の上まで見送る。宿から宿への継立てと言えば、人足や馬の世話から荷物の扱....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
行くと、下男の佐吉が宗太(半蔵の長男)を連れて、主人の帰りのおそいのを案じ顔に、陣場というところに彼を待ち受けていた。その辺には「せいた」というものを用いて、重....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
地なぞを手放す相談も引き続きはじまった。井の平畠は桝田屋へ、寺の上畠は伏見屋へ、陣場掲示場跡は戸長役場へというふうに。従来吉左衛門時代からの慣習として本陣所有の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろは全然違った中仙道の碓氷峠《うすいとうげ》の頂上から、少しく東へ降ったところの陣場ヶ原の上で、真夜中に焚火を囲んでいる三人の男がありました。 一昨夜の暴風雨....
雨夜続志」より 著者:田中貢太郎
、群馬の暴動は免かれることができなかった。それは明治十七年五月十三日、妙義山麓の陣場ヶ|原に集合した暴徒を指揮して地主高利貸警察署などを屠った兇徒の一人として、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
判官高貞なども、立会いとして、これへ臨んでいたので、三明院の野外は、時ならぬ兵の陣場となり、ふだん百戸に足らぬ浦の部落は、喧騒にあふれ返った。 折ふし、裏日本....
私本太平記」より 著者:吉川英治
は、田所種直や稲井瀬ノ五郎や入道永観らと共に、船上山へむかって、野陣を布いていた陣場のうちだった。 「えっ。能登が生きて?」 清高は、半信半疑に、 「能登とい....
私本太平記」より 著者:吉川英治
おかしげなお人を」 「吉田山の法師ですか」 「そうですの。その吉田山も六波羅兵の陣場になってしまいましたので、先頃から双ヶ岡へ、庵を移しておられます。……小右京....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ら、父子、叔父甥、かたらいあってみなやって来い。 こう、つたえ聞いて、大江山の陣場は、日ごとに人数を加えていた。 いまもって、ふんべつもつかず迷っていた者、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
いずこかは存じませぬが、いとやすいことにござりまする。して次はどこへ」 「直義の陣場へだ」 「こころえまいてござりまする」 「直義一|勢はいま、箱根路の三島口、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
来た。報によれば、予定していた名島から松ヶ崎の重要な高地には、意外にも、はや敵が陣場を占めている模様であるという。 ――前夜。 尊氏は、宗像の大宮司家の門前....
私本太平記」より 著者:吉川英治
い得るな」 「されば、彼処に立てば、十方、望みえぬ所はなく、敵にとっては、絶好な陣場です」 「そう思われるが、ではなぜ、そこに義貞が床几をおかず、楠木勢がおるの....
年中行事覚書」より 著者:柳田国男
川の辺の別宴の悲しみと共に、これもまた道饗祭の様式の一つであって、それと殺伐たる陣場弓箭の沙汰とは、いかにも別々な行事らしく見えるが、本当は剛柔二様の使い分けで....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
は屹度、恐ろしい大きな岩が掩い被さる様に平地を抱えて、四、五人は楽に泊れる好い野陣場があるものだ。二町許で河原が尽きて、私達は明るい崖の上に導かれた。暑い日がカ....