陰険[語句情報] »
陰険
「陰険〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陰険の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
せにどこかに愛嬌《あいきょう》があるかと思うと、ばか笑いをしている最中に不思議に
陰険な目つきをちらつかせたりした。葉子はその人を観察すればするほどその正体がわか....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だから。お前はいつでも然り然り否々といい切ることが出来ないから。毎時でもお前には
陰険なわけへだてが附きまつわっているから。お前は憎まれていい。辱しめられていい。....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
仮想敵国として我国を睨んでいるのです。あらゆる術策が我国に施されてある中に、最も
陰険きわまるのはこの国際殺人団の本体であるところのJPC秘密結社です。×国は三十....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
れているようなんですよ。話をして見ても、言語のはっきりしている割合に、どことなく
陰険なんです。それに勝見はこんな顔をしていたかしらと思うこともあるのです。あの眼....
「赤外線男」より 著者:海野十三
は夫妻ならでは絶対に知ることのない内緒ごとでした。それにも係らず、平田一郎という
陰険な男は、一体どこから見ているのか、実に詳しく、実に正確に、夫婦間の秘事を手紙....
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
主任は流石に白亭の微妙な変化を見逃さなかった。 事件の報告は急転して、猛烈な、
陰険な追求が始まった。が、白亭も流石に人物だ。あれこれと取り繕ろって、執拗な主任....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
波の一つ一つの陰に畳んでしっとりと穏かだった。だが、私は何かその静穏な海の状態に
陰険な打ち潜んだ気配を感じて、やや憎みさえ覚えた。今日は海へはいり度く無いな、と....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を、法水は駄々児を諭すような調子で、
「ウン、この事件の犯人たるや、いかにも神速
陰険で、兇悪きわまりない。しかし、僕の云う理由はすこぶる簡単なんだ。だいたい君が....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
かない位置にあったのだ、無論体力の劣性を補うばかりでなく、捜査方針の擾乱を企てた
陰険冷血な計画も含まれているのだ。だから、手口だけから見ると、ルキーンの幻が消え....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
た蛭が花弁に包まれてしまったのだ。玄白堂内の足跡を消す以外に、厨川君には斯う云う
陰険策があったのさ。多分僕を目標に計画した事なんだろうが、事実僕も、喬村君の影を....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ば、もっと機智があって、もっと生活が豊かで、しかも他人が認めているよりも、もっと
陰険な女でなければならないはずである。 私はいくたびかバーグレーヴ夫人にむかっ....
「初雪」より 著者:秋田滋
込んで来て、部屋という部屋のなかはそれで一ぱいになっているようである。敵のように
陰険で、しつッこく、烈しい力をもった透間風である。彼女はどこへ行っても、それに出....
「大阪の可能性」より 著者:織田作之助
堪えられぬくらい暑くおまけに人間が薄情で、けちで、歯がゆいくらい引っ込み思案で、
陰険で、頑固で結局景色と言葉の美しさだけと言った人があるくらい京都の、ことに女の....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
包み、銘々印籠の二重底に隠し置くという、これもその時の申合せじゃ。そうして置いて
陰険な石見守は、腹心の者を一人ずつ、毒殺、或は暗殺など致して退けた。三増峠の老人....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
れぞれの被害者へ対して凡て炭塊を使っております。この事実を、事件全体のなんとなく
陰険な遣口なぞと考え合せて、炭塊以外に手頃な兇器の手に入らない人、つまり坑夫でな....