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「陳腐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陳腐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
ら、首をかしげている謙虚な裸の状態だった。よれよれの五十銭札みたいに使い古された陳腐な言葉の助けを借りて、何もかも既知の事実にしてしまうという観念の衣裳をまとわ....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
および感情の耐時性と関係している。すなわち、縦縞が感覚および感情にとってあまりに陳腐《ちんぷ》なものとなってしまった場合、換言すれば感覚および感情が縦縞に対して....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
た。それでなくても老人の売っているブリキの独楽《こま》はもう田舎の駄菓子屋ででも陳腐《ちんぷ》なものにちがいなかった。堯《たかし》は一度もその玩具が売れたのを見....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ヒルベルト以前の論理学で説けるものじゃない。その一例があの水の跡なんだが、それを陳腐な残余法で解釈すると、水が人形の体内にある発音装置を無効にした――という結論....
近時政論考」より 著者:陸羯南
誠にかくのごときものあり。世に一家の見識なくわずかに泰西旧学者の説を借り来たりて陳腐の政論を綴造し、自ら称して自由論派または進歩論派となすものあり。かくのごとき....
工場細胞」より 著者:小林多喜二
は急速に開けて行くだろう……。 「で、その研究会だが、君は九人の労働者を物識り、陳腐な、そして何時でもシタヽカの失敗と精力の濫費を重ねて来たようなやり方でなしに....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
、既にドイツ軍がエベンエマエル要塞戦に使ったということを聞いています。それはもう陳腐な毒瓦斯で……」 「ドイツ軍が使ったという話のある神経瓦斯は、一時性の神経麻....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
ちまち魂を奪われた。 「これは何でしょうか」 「これは何ですの」 「ああ、それは陳腐なものばかりじゃ。今列国の兵器研究所が、秘密に取上げているものばかりだよ。今....
華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
与えられたり又与えたくもあったからだ。決った場所。決った時間。決った曜日。それは陳腐で倦怠の連続だから。 南原杉子はいそぎ足でカレワラへゆき、荷物を受取って(....
幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
。電車の後尾燈は、遠くみえなくなりました。こんなことは、まるで三文小説みたいに、陳腐なこと。でも、私、ほんとにもう会えないんだ。と自分の心で決めてしまっていたも....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
体が切実沈痛で、一点浮華の気をとどめて居らぬ。現代の吾等は、擬人法らしい表現に、陳腐を感じたり、反感を持ったりすることを止めて、一首全体の態度なり気魄なりに同化....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
月の 匂ふ軒端に梅の花ちる 此歌よろしけれど、或は類歌あるべく、いさゝか陳腐のきらひあり。 川霞 薄月の空に匂ひて川ぞひの 柳をぐらく霞たなびく....
梅にうぐいす」より 著者:北大路魯山人
カチをひねっていたが、思い切っていった。 「先生、梅にうぐいすでは、あの、あまり陳腐ではございませんでしょうか」 わたしは呆れて尋ねた。 「それでは伺いましょ....
現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
大したことにならんともかぎらないのであるが、しかし、その注意はあまり耳慣れている陳腐な言葉であっただけに刺激が怪しまれるのみならず、前例としてかつて効き目のあっ....
春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
斯様な標題を掲げたが、何もこんな陳腐な題目で柄にもない文学論を試みようとするのではない。「図書」という雑誌の性質....