陶然[語句情報] » 陶然

「陶然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陶然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ろう。」 やがて若殿様は、恥しそうに御眼を御伏せになった御姫様から、私の方へ、陶然となすった御顔を御向けになって、 「何と、爺《じい》もそう思うであろうな。も....
奇遇」より 著者:芥川竜之介
の満足は察してくれ給え。実際僕は久しぶりに、旅愁《りょしゅう》も何も忘れながら、陶然《とうぜん》と盃《さかずき》を口にしていた。その内にふと気がつくと、誰《たれ....
或る女」より 著者:有島武郎
き寄せた。そして切るような痛みと、痛みからのみ来る奇怪な快感とを自分自身に感じて陶然と酔いしれながら、倉地の二の腕に歯を立てて、思いきり弾力性に富んだ熱したその....
」より 著者:岡本かの子
間に家はだんだん潰れて行く。父親は美しい息子が紺飛白の着物を着て盃を銜むのを見て陶然とする。他所の女にちやほやされるのを見て手柄を感ずる。息子は十六七になったと....
婦系図」より 著者:泉鏡花
町の井筒の許で、青葉落ち、枝裂けて、お嬢と分れて来る途中、どこで飲んだか、主税も陶然たるもので、かっと二等待合室を、入口から帽子を突込んで覗く処を、め組は渠のい....
妖術」より 著者:泉鏡花
去らしって可うござんす。」と女中を起たせたのは意外である。 一帆はしばらくして陶然とした。 「更めて、一杯、お知己に差上げましょう。」 「極が悪うござんすね。....
河口湖」より 著者:伊藤左千夫
してくれ、美人の唇もむろん昼ほどは固くなく、予は愉快な夢を見たあとのような思いで陶然として寝についた。....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
るような、蠱惑に充ちた美しいお照の肉体の游泳姿態を見せられて、いずれ物言わぬ眼に陶然たる魅惑の色を漂わしていたものである。 何故ならそのフィルムは故意か偶然か、高速度カメラで撮られていたのである。....
疑問の金塊」より 著者:海野十三
仕事も一人前に出来ないのに……」 自嘲したり、自惚たりしているうちに、ようやく陶然と酔ってきた。――そして、いつの間にかグッスリ睡ったものらしい。 コツ、コ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
のまま血をのみこみたり。村上先生来診、応急措置をいたされ、咳とめ注射のおかげにて陶然となりぬ。この喀血は三日間相当ありて全量二百グラム位かと覚えたり。村上先生毎....
荘子」より 著者:岡本かの子
始めた。荘子はその境地を見るのを楽しみにしてこそ麗姫に逢いに来たのである。彼は心陶然として麗姫の興裡に自分も共に入ろうとした。 「………海上に浪がたつ時、その魚....
三枚続」より 著者:泉鏡花
生、どうだ歌先、ちょっと奥さん、はははは、今日ア。」と、けろりと天井を仰いだが、陶然として酔える顔色、フフンといって中音になり、 「――九は病五七の雨に四ツひで....
雪柳」より 著者:泉鏡花
こう。) (義理の悪いことはないんですか。) (言うにゃ及ぶべき。) 晩酌で、陶然として、そのまま肱枕でうたたねという、のんきさではありません。急ぎの仕事に少....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
頂いた――その癖酌を受けたのは今ばかりではない、もういい加減酔っている。実は私も陶然としていた。 「これ、土手で売る馬肉じゃあないが、蹴転の女郎の切売を買ったっ....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
。山上の寒さは挙ぐる火に消えたり。鍋の飯も出来たり。下戸は先ず食う。上戸は酔うて陶然たり。十九夜の月出ず。火炎高く昇れるが、火炎の中に数十条の赤線直上し、その末....