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陶酔
「陶酔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
陶酔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
りもなく鼻をおおうような不快な香《にお》いをかぎつけると、葉子は肉体的にも一種の
陶酔を感じて来るのだった。その倉地が妻や娘たちに取り巻かれて楽しく一|夕《せき》....
「想片」より 著者:有島武郎
はそれに疚しさを感ずるように思って多少苦しんだことはある。しかしそれは一個の自己
陶酔、自己|慰藉《いしゃ》にすぎないことを知った。
ただし第三階級に踏みとどま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
の持ち場につく。お内儀さんたちは右に左に夫や兄や情人やを介抱して駆け歩く。今まで
陶酔したようにたわいもなく波に揺られていた船の艫には漁夫たちが膝頭まで水に浸って....
「振動魔」より 著者:海野十三
めた水管の味に正体を失わせるか、それとも夫人の安心をかちえたエクスタシーの直後の
陶酔境に乗じて、堕胎手術を加えようか、などと考えたけれど夫人はいつも神経過敏で、....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
建の二階家になぜ煙突が入用なのであるかと考えては、いけないであろうか」 帆村は
陶酔的口調で私に聴かせているのではなく、彼自身の心に聞かせているのであることが明....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
ながら、清澄な湯槽にぐったりと身を横えたりする間の、疲れというか、あの一味放縦な
陶酔境といったものは、彼にとって、ちょっと金で買えない娯しみであったのだ。 陽....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
栄螺は、こっちにもドッサリありますから、こっちのをおとり下さい。なにも、星宮君が
陶酔している分をお取りなさらなくても……」 そういって、何故か軍医は、大尉の前....
「河明り」より 著者:岡本かの子
「この無邪気さには、とても敵わない」 私は気力も脱けて、今度はしきりに朗吟の
陶酔に耽っている、社長の肩を揺って、正気に還らせ、 「これは真面目なご相談ですが....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
超人的な探求と実行とをもって臨み、毎夜のごとく魂を忘れたる人のように底しれぬ深き
陶酔境に彷徨しつづけるのであった。 「――いくら何でも、これでは生命が続かないよ....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
間と考えている。傍で見ていると、何とも云えず幸福そうに見える。それは味覚の世界に
陶酔している姿に見える。恐らく大革命の騒ぎの最中でも、世界大戦の混乱と動揺の中で....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
ります。ただ、目下は、キリスト教に対しては、その教理をやや研究的に、仏教には殆ど
陶酔的状態に見うけられます。 現在に対する虚無の思想は、今尚氏を去りません。然....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
最後の理想境を求めんとするが、これは百弊ありて一利なしである。何の得る所なき自己
陶酔、キザな神様気取りの、聖者気取りの穀潰しが、一人出来上る丈である。日本国民は....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
て原始なヂャバ土人の生活に楽しみ、時にはオクライナを吹いてはスペインの南国情緒に
陶酔もする、またクララ・キンベル・ヤングやロンチャニーも好愛し、五月信子や筑波雪....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
うだが、顔を見るとウンザリする、」といった。が、顔を見るとウンザリしてもその声に
陶酔した気持は忘れられないと見えて、その後も時々垣根の外へ聞きに行ったらしかった....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
時の青年はコンパスや計算尺を持つ技師となっても、前垂掛けで算盤を持っても、文芸に
陶酔してペンを持っても、国士という桎梏から全く解放されたものは先ずなかった。身、....