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隔
「隔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
のようにぼんやりと。
15
飾り窓の板硝子越しに造花を
隔てた少年の上半身。少年は板硝子に手を当てている。そのうちに息の当るせいか、顔だ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
が芸術に与える価値と、彼の心情が芸術に与えようとする価値との間には、存外大きな懸
隔《けんかく》がある。従って彼のうちにある、道徳家が前者を肯定するとともに、彼の....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
御喜びなさいまして、その道々の名人上手とは、御身分の上下も御忘れになったような、
隔てない御つき合いがございました。いや、それもただ、そう云うものが御好きだったと....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
とく授業に出て行ってしまった。粟野さんは彼の机の向うに、――と云っても二人の机を
隔《へだ》てた、殺風景《さっぷうけい》な書棚《しょだな》の向うに全然姿を隠してい....
「河童」より 著者:芥川竜之介
熊笹《くまざさ》の中を見まわしました。すると河童は逃げ腰をしたなり、二三メエトル
隔たった向こうに僕を振り返って見ているのです。それは不思議でもなんでもありません....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
この頃|丸髷《まるまげ》に結《ゆ》ったお蓮は、ほとんど宵毎《よいごと》に長火鉢を
隔てながら、牧野の酒の相手をした。二人の間の茶ぶ台には、大抵《たいてい》からすみ....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
* * * * *
僕は翌々十八日の午後、折角の譚の勧めに従い、湘江を
隔てた嶽麓《がくろく》へ麓山寺《ろくざんじ》や愛晩亭を見物に出かけた。
僕等を....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
十分ほど前、何小二《かしょうじ》は仲間の騎兵と一しょに、味方の陣地から川一つ
隔てた、小さな村の方へ偵察《ていさつ》に行く途中、黄いろくなりかけた高粱《こうり....
「女」より 著者:芥川竜之介
うごめ》き出した、新らしい生命を感ずると、おもむろに弱った脚を運んで、母と子とを
隔てている嚢《ふくろ》の天井を噛《か》み切った。無数の仔蜘蛛《こぐも》は続々と、....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
衛門を顧《かえりみ》て、「伝右衛門殿をよんで来ましょう。」とか何とか云うと、早速
隔ての襖《ふすま》をあけて、気軽く下の間へ出向いて行った。そうして、ほどなく、見....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
洋一は長火鉢の向うに、いやいや落着かない膝《ひざ》を据えた。襖《ふすま》一つ
隔てた向うには、大病の母が横になっている。――そう云う意識がいつもよりも、一層こ....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
う。」
O君はK君をからかったりした。
蜃気楼の見える場所は彼等から一町ほど
隔っていた。僕等はいずれも腹這《はらば》いになり、陽炎《かげろう》の立った砂浜を....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ら。」(第二巻第二十九章)
天才
天才とは僅《わず》かに我我と一歩を
隔てたもののことである。只《ただ》この一歩を理解する為には百里の半ばを九十九里と....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
成瀬《なるせ》君
君に別れてから、もう一月《ひとつき》の余になる。早いものだ。この分では、存外容易に、君と僕らとを
隔てる五、六年が、すぎ去ってしまうかもしれない。
君が横浜を出帆した日、銅鑼《....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
あろう? 美は既に捨ててしまった。しかし真と善との峰は、まだ雪をかぶった儘深谷を
隔てているかも知れぬ。菊池の前途もこの意味では艱険に富んでいそうである。巴里や倫....