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隔膜
「隔膜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隔膜の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
らしく微笑を見せながら、そういっているうちに、大濤《おおなみ》がどすんどすんと横
隔膜につきあたるような心地《ここち》がして、鼻血でも出そうに鼻の孔《あな》がふさ....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
ら」 敬太郎は少し羞痒《くすぐっ》たいような気がした。相手を見ると依然として横
隔膜《おうかくまく》から下を湯に浸《つ》けたまま、まだ飽《あ》きずにじゃぶじゃぶ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いは読んでいるからね。いかにも、第四頸椎に圧迫がある場合に衝動的吸気を喰うと、横
隔膜に痙攣的な収縮が起る。だがしかしだ。その肝腎な傴僂というのは、あの女じゃない....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
ドを旅した時の、あの二十代の健かな歓びを思っても見ろ。あの男の笑い声――「顔と横
隔膜とのみの笑ではなく、頭から踵《かかと》に及ぶ全身の笑」が、今も聞えるようだ。....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
て嵌る心理のあらわれは皆、これに他ならぬのである。
次に、この禽獣性の下に在る
隔膜を、今一つ切開くと今度は、その下から虫の心理がウジャウジャと現われて来る。
....
「芝刈り」より 著者:寺田寅彦
ために今度は印字機に向かったつもりになって両手の指を動かしているといつのまにか横
隔膜の下のほうが次第に堅く凝って来るのを感じた。 このような仮想的の試験があて....
「微笑」より 著者:夢野久作
崩れ落ちて来た。胴を掴み破ると、ボール紙の肋骨が飛び出した。その下から又、薄板の
隔膜と反故紙の腸があらわれた。手足をポキポキとヘシ折ったら、中味は灰色の土の肉ば....
「鎖骨」より 著者:寺田寅彦
がどうかなるのかもしれない。 悲しいとき涙腺から液体を放出する。おかしいとき横
隔膜が週期的|痙攣をはじめる。これも何か、もっとずっと悪い影響を救うための安全弁....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
っていた。窓向うの壁がかぶりつきたいほどうまそうな狐色に見えた。彼女は笑った。横
隔膜を両手で押えて笑った。腹が減り過ぎて却っておかしくなる時が誰にでもあるものだ....
「理想の女」より 著者:豊島与志雄
った。それは凡てを吹き払ってしまった。所が間もなく、千代子は十八の秋に、肋膜と横
隔膜とを同時に病んで、短い臥床の後に死んでしまった。私は彼女の位牌の前で、しめや....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なかった。二階と一階とをへだてる床《ゆか》には、引き戸も階段もなく、その破屋の横
隔膜のような観があった。二階には前に言ったとおり、多くの室と数個の屋根部屋とがあ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
から下がっており、一面に張りつめた広い蜘蛛《くも》の巣は、塵《ちり》をかぶった横
隔膜のようだった。方々のすみには黒ずんだ大きな汚点が見えていて、ちょうど生きてる....
「故郷」より 著者:井上紅梅
わしているではないか。宏兒は水生を思念しているではないか。わたしは彼等の間に再び
隔膜が出来ることを望まない。しかしながら彼等は一脈の気を求むるために、凡てがわた....