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「際涯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

際涯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
益だった。感じと感じとの間には、星のない夜のような、波のない海のような、暗い深い際涯《はてし》のない悲哀が、愛憎のすべてをただ一色に染めなして、どんよりと広がっ....
新生」より 著者:島崎藤村
遠い陸は言うに及ばず、船|一艘《いっそう》、鳥一羽、何一つ彼の眼には映じない広い際涯《はてし》の無い海の上で、その照光と、その寂寞《せきばく》と、その不滅とを味....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
を感ずる人である。新しい板壁の反射や生々しいペンキの色は、そうした感じを象徴して際涯《はてし》もなく波打ち続いている。 一度|灰燼《かいじん》となった吾が大和....
地球盗難」より 著者:海野十三
学士は、電子望遠鏡の前に坐りきり、刻一刻と、佐々のロケットにピントを合わせては、際涯しらぬ天空にとびだしてゆく友の身の上を心配しつづけた。 トロトロと睡ったら....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
に見ることが出来た。 空は高く且つ暗く、星のない闇夜を想わせる。 四辺は広く際涯を見ず、ただ蒼々茫々と蒼白い光に照らされている。 この別天地の遥か彼方に銀....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
素材を要するというのである。これは、後に述べるように、彼の考える「元子の雨」が無際涯の空間の果てから地上に落下しつつある、という前提が頭にあるからの議論である。....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
なる知識の糧、霊魂の糧である。金に換えたら幾何のものでなくても、其存在の効果は無際涯である無尽蔵である。此の焼けて灰となった書籍の一冊を読んで大発明をし、大文章....
流線間諜」より 著者:海野十三
行かんか」 「なに出発ですか。……連れていって下さい。どこでも構いません。地獄の際涯でもどこでも恐れやしません。ぜひ連れてって下さい」 帆村は莞爾として、牧山....
太郎坊」より 著者:幸田露伴
質問には答えなかった。 「それを今更話したところで仕方がない。天下は広い、年月は際涯無い。しかし誰一人おれが今ここで談す話を虚言だとも真実だとも云い得る者がある....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
海、それは刑罰がそれを受けたる者を投ずる社会的の酷薄なる夜である。海、それは際涯なき悲惨である。 人の魂は、この深淵のうちに流れ込むとき死屍《しかばね》と....
」より 著者:黒島伝治
隊の者も、憲兵も、ロシア人も、掴まされていた。そして今は、偽札が西伯利亜の曠野を際涯もなく流れ拡まって行っていた。………… (一九二八年五月)....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
である。額縁の横幅約二尺八寸、縦幅一尺八寸はあろうと思われる。 鶴見は海と共に際涯もない感情を抱いてその画を丹念に見返し見返ししている。波と岩との争闘の外に火....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
って来て、どうしてもそれに堪え得られないとしましたら……。」 「崇き憤り!」 「際涯なき自由!」 彼は、ついに、一つの句さえ満足に云えないようになって行くので....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
の行方不明と彼の惨殺事件との間に、何等かの関聯があるのではあるまいか。こんな事を際涯もなく思い続けている中に、夜は白んだ。幸いに暁方から雨は晴れた。 遠近では....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
き大川あり、その湖には北部の大湖あり、その原には中央の平原あり、ともに一望千里、際涯を見ず。この間に生長せる人民は、朝夕目にその大を見、耳にその大を聞き、精神思....