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隠す
「隠す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ょうかな。」
「おお、さっそく、拝見しましょう。」
崋山はある興奮に似た感情を
隠すように、ややわざとらしく微笑しながら、紙の中の絵絹をひらいて見せた。絵は蕭索....
「影」より 著者:芥川竜之介
の光にも恐れず、寸刻もたゆまない凝視の眼を房子の顔に注いでいる。彼女は両手に顔を
隠すが早いか、無我夢中に叫ぼうとした。が、なぜか声が立たない。その時彼女の心の上....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ている、女のような非力《ひりき》の求馬は、左近をも一行に加えたい気色《けしき》を
隠す事が出来なかったのであった。左近は喜びの余り眼に涙を浮べて、喜三郎にさえ何度....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
のか、何とも答を返さなかった。
「後生ですから、ねえ、あなた――」
お蓮は涙を
隠すように、黒繻子《くろじゅす》の襟へ顎《あご》を埋《うず》めた。
「御新造は世....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
?」「先生ももう来ていらっしゃるんだよ、さあさあ、早くお起きなさい」伯母は感情を
隠すように、妙にかたくなな顔をしていた。自分はすぐに顔を洗いに行った。不相変《あ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
た。彼は倉皇《そうこう》と振り返る暇にも、ちょうどそこにあった辞書の下に、歌稿を
隠す事を忘れなかった。が、幸い父の賢造《けんぞう》は、夏外套《なつがいとう》をひ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
満しているとしか思われなかった。殊にあの十六人の女たちは、いずれも死穢《しえ》を
隠すために、巧な紅粉《こうふん》を装っている、屍骨《しこつ》のような心もちさえし....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
「次手《ついで》に靴《くつ》も脱《ぬ》いで見ろ。」
彼等はほとんど無表情に、
隠すべき所も隠そうとせず、検査の結果を眺めていた。が、ズボンや上着は勿論、靴や靴....
「或る女」より 著者:有島武郎
紙を持って帰って来た。葉子はすぐに封を開いて見た。
「事《こと》重大となり姿を
隠す。郵便では累《るい》を及ぼさん事を恐れ、これを主人に託しおく。金も当分は送れ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
で笠井の娘は松川の所に帰って来なかった。こんな晩に若い男女が畑の奥や森の中に姿を
隠すのは珍らしい事でもないので初めの中《うち》は打捨てておいたが、余りおそくなる....
「碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
蒲団をここに一つ持って来て頂戴」 と仰有った。僕はお母さんが泣くので、泣くのを
隠すので、なお八っちゃんが死ぬんではないかと心配になってお母さんの仰有るとおりに....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
、王女の前へも来られたのは、やはりマントルのおかげです。これでも王子の姿だけは、
隠す事が出来たじゃありませんか? 王 (嘲笑う)生意気な! わたしのマントルの力....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
から己れの姿を隠し終せたと信ずる駝鳥のようにも思う。駝鳥が一つの機能の働きだけを
隠すことによって、全体を隠し得たと思いこむのと反対に、私は一つの機能だけを働かす....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
もので……。』 答『妊娠する以上お産もある。その際、女性の竜神は大抵どこかに姿を
隠すもので……。』 問『一|対の夫婦の間に生れる子供の数はどれ位でございましょう....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
襦袢などを便りにつけて送るとの事、そのほか在所の細事を委しく記されたり。予よりは
隠すべきにあらねば当時の境界を申し送り、人世を以て学校とすれば書冊の学校へ入らず....