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隠れて
「隠れて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠れての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
でも待とう。」
彼のこの決心には、もちろん、いくぶん沙金に会えるという望みが、
隠れている。沙金は、日ごろから、強盗にはいる夜《よ》には、好んで、男装束《おとこ....
「影」より 著者:芥川竜之介
調子を失っていた。今西はしかし例の通り、冷然と目礼を送ったまま、すぐに戸の向うへ
隠れてしまった。
その内に更紗《さらさ》の窓掛けへ、おいおい当って来た薄曇りの....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
的な詠歎《えいたん》に釣りこまれて、出来るなら今にも子爵と二人で、過去の霧の中に
隠れている「一等|煉瓦《レンガ》」の繁華な市街へ、馬車を駆りたいとさえ思っていた....
「河童」より 著者:芥川竜之介
しました。けれどもそれらは見えたと思うと、たちまち濛々《もうもう》とした霧の中に
隠れてしまうのです。そのうちに足もくたびれてくれば、腹もだんだん減りはじめる、―....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
た、乳母と見た月蝕《げっしょく》の暗さを思い出してしまう。それはこの嬉しさの底に
隠れている、さまざまの物《もの》の怪《け》を一時《いちどき》に放ったようなものだ....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
を覗《のぞ》くものがある。が、僕はそちらを見るが早いか、すぐに幕の後《うしろ》へ
隠れてしまう。そうして僕が眼を外《そ》らせば、じっとまたこちらを見つめている。何....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
い返そうと思う内に、赤帽はちょいと会釈《えしゃく》をすると、こそこそ人ごみの中に
隠れてしまった。それきり千枝子はいくら探して見ても、二度とその赤帽の姿が見当らな....
「路上」より 著者:芥川竜之介
しい口吻《こうふん》を弄《ろう》し出すと、俊助は義理にも、金口《きんぐち》の煙に
隠れて、顔をしかめない訳には行かなかった。が、近藤はそんな事には更に気がつかなか....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
たその後《あと》から、重そうな足を運び始めた。――
彼等の姿が草山の下に、全く
隠れてしまった時、さらに一人の若者が、のそのそそこへ下《くだ》って来た。夕日の光....
「少年」より 著者:芥川竜之介
らっぱ》に似ているのもやはり法螺貝《ほらがい》と云うのであろうか? この砂の中に
隠れているのは浅蜊《あさり》と云う貝に違いない。……
保吉の享楽は壮大だった。....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
知らなかったそうです。ですから昔煙客先生が見られたという秋山図は、今でもどこかに
隠れているか、あるいはそれが先生の記憶の間違いに過ぎないのか、どちらとも私にはわ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
、不意の大変に狼狽《ろうばい》して、大広間の方へ逃げて行ったなり、これもどこかへ
隠れてしまったので、誰もこの刃傷《にんじょう》を知るものがない。それを、暫くして....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たと云うのです。新蔵は我知らず堅くなって、じっと耳を澄ませましたが、襖一重向うに
隠れている、お敏のけはいを除いては、何一つ聞えるものもありません。すると婆は益々....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
じます。 戦闘が始まってから、女子供はむろん皆城内から出されて居りました。私の
隠れていた所は油壺の狭い入江を隔てた南岸の森の蔭、そこにホンの形ばかりの仮家を建....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
る筈だから」 老人はこう言ったと思うと、今度もまた人ごみの中へ、掻き消すように
隠れてしまいました。 杜子春はその翌日から、忽ち天下第一の大金持に返りました。....