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隠微
「隠微〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠微の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
間にぶつかったのは、私の視線が、偶然――と申すよりは、人間の知力を超越した、ある
隠微な原因によって、その妻の傍《かたわら》に、こちらを後《うしろ》にして立ってい....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
福なり、其故如何? 其人は矜恤を得べければ也、何時? 神イエスキリストをもて人の
隠微たることを鞫き給わん日に於てである、其日に於て我等は人を議するが如くに議せら....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
給え。必ずその解答が、前例の二つとはてんで転倒した犯行形式に違いないのだ。犯人は
隠微な手段を藉らずに、堂々と姿を現わして、ブラッケンベルグ火術の精華を打ち放すだ....
「冬日記」より 著者:原民喜
、彼はふと、家に置忘れて来た自分の姿を振返ることがあった。長い間かかって、人生の
隠微なるものの姿を把《とら》えようとしていたのに、それらはもうあのままに放置され....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の考えもなく敲き続くるうち問う人の動作を視てたちまち止まるので、当人が見分け得ぬ
隠微の動作に細かく注意して見逸《みのが》さぬところは驚嘆に余りありとあった。それ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
って、 仏様のうしろで、一切食や、うまし、二切食や、うまし…… 紀州の毬唄で、
隠微な残虐の暗示がある。むかし、熊野|詣の山道に行暮れて、古寺に宿を借りた、若い....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
あれば、一切の先入的偏見を排除して、千万人といえども吾行かんの概を以て、宇宙間の
隠微を探るべく勇往邁進する。無上の幸福、無上の満足がその間に湧き出る。天地間の宝....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ことはできなかった。しかしクリストフにたいする愛情のために、その青年の考えの最も
隠微な色合いをも見て取ることができた。彼はもはや自分のうちにはいないで、クリスト....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
うな生真面目な眼付をして公爵の顔に見入っていたが、何といって捕捉する事の出来ない
隠微な幻のようなものがちょいちょい頭の中で動めいた。彼は綺麗に分けた霜のような頭....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
。それに、はっきり自分で意識していたわけではなかったが、故郷の自然というものが、
隠微の間に彼をひきつけていたこともたしかだった。 彼は二日も三日もそのことばか....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ら、これと同じ衝動を感ずるに違いない。真名古の酷烈さは実に恐るべきもので、どんな
隠微な犯罪も見逃しはせぬ。喰いついたら離さぬ。悪女の妄報といえどもこうまで執念深....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
「それでは御謙遜にすぎましょう。……このほどの丹頂のお鶴の件、また堺屋の騒動。
隠微夢中《いんびむちゅう》のなかから真相を摘抉《てきけつ》して、さながら掌のなか....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
ているとさえ言われている。しかしその底には怖るべき漠然さがある。彼は非常に多くの
隠微なものを読者の演出にまで残している。恐らく彼は、音楽に於ける漠然さの価値を信....
「解説」より 著者:原田義人
なかでは、どんな町の隠れた片隅、町角、どんな埃っぽい廊下、どんなみだらさ、どんな
隠微な暗示でも、すぐ自分にはそれとわかるほどだ。だから自分には、カフカの作品につ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
するぞよ。
人智と技術とをお前に対して敬するぞよ。
恵ある眠薬の精奴。
あらゆる
隠微な人を殺す諸力を選り抜いた霊液奴。
今この主人をお前の恵に逢わせてくれい。
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