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「隠忍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隠忍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
は、世にも恐ろしい殺人鬼です。あいつは殺人の興味ために、あらゆる努力と、あらゆる隠忍とを惜しまない奴でした。心臓麻痺で死んだと見せかけたのは、彼が印度の行者から....
桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
た。後永禄五年五月、水野信元のとりなしで信長と清須城に会して連合を約し、幼少から隠忍した甲斐あって次第に勢を伸す基礎を得た。元康、義元への義を想って子の氏真に弔....
小説家たらんとする青年に与う」より 著者:菊池寛
しようが、それはその人の勝手である。苟くも、本当に小説家になろうとする者は、須く隠忍自重して、よく頭を養い、よく眼をこやし、満を持して放たないという覚悟がなけれ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
水戸とが互いに傷ついてからは、薩州のような雄藩の擡頭となった。関ヶ原の敗戦以来、隠忍隠忍を続けて来た長州藩がこの形勢を黙ってみているはずもない。しかしそれらの....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
て、逸り狂う心の駒を繋ぎ止めたのであった。けれども、さすがの私も、後にはとうとう隠忍しきれなくなって、焦立つ心持をそのまま文字に書き綴ってやったのである。女の方....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ものである。熱心な信仰家の持つ謙遜な忍耐、あのピルグリム・プログレスの巡礼の持つ隠忍にして撓まぬ努力の精神、それに私は感服する。苦痛と悲哀との底よりいかにしてか....
不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
博士が暁の寒冷にはち切れそうなる下腹をおさえて化粧室にとびこんだとたん、扉の蔭に隠忍待ちに待っていたその客は、鬼の首をとったような顔で、金博士の裾をおさえて放さ....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
を始め、他の外間の者も、藩の危難を慮りかく幕府の権威の墜ちた上は、我藩もなるべく隠忍持重して時節を待つ外はない、それには長州の使者に対しても温和的に談判をするが....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ところの一つの美徳が、彼らには欠けていた、すなわち寡黙の美徳が。 クリストフは隠忍な気分になっていた。彼の我慢のない怒りっぽい気質は、苦悶《くもん》のために和....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
《よど》んでる悲しみ、牧師やユダヤ人や技師や革命家などの傲慢《ごうまん》な思想の隠忍な沈黙、アルノー夫妻の心を音もなく焼きつくしてる愛情と信念との蒼白《あおじろ....
貞操問答」より 著者:菊池寛
理が悪すぎる。この家へはいる時、路子さんからも、特別に注意されていたのに、もっと隠忍すべきであった。 準之助氏に、何と云い出そうかと、思い悩んでいたので、部屋....
監獄部屋」より 著者:羽志主水
は良心や温情は罪悪である、正義や涙は篦棒《べらぼう》である。腕力、脅威が道徳で、隠忍、狡滑が法律である。殺人、傷害、凌辱、洞喝が尋常茶飯事で、何の理由も無く平気....
漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
がかかっていた。片方の足袋を脱がし終ると更らに此方の足を突き出した。それもお重は隠忍して脱がせた。私は何のために漱石氏がそんな事をするのかと、ただ可笑しく思いな....
熱情の人」より 著者:久保栄
ての傾向を帯びなかったとしても、これらの左翼理論家の痛罵を浴びながら、なおかつ、隠忍自重して多難な新劇劇場の経営に努力し、他日の大成に資すべき幾本かの貴重な杙を....
死者の権利」より 著者:浜尾四郎
タクシーという高級車ばかりおく自動車屋が出入するということを極めました。 私は隠忍しました。偽名は時が長く経過する程ばれ易いわけです。うっかり××タクシーに雇....