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「隠退〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隠退の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
た。 焼けなかったと思って、威張ってやがらア。なんだ、こんな京都! 京都なんて隠退蔵物資みたいなもンだ。けちけちと食べずに残して置いたおかげで、値が上ったよう....
新生」より 著者:島崎藤村
まった倉庫の見える方を注意して、市街の誇りと光輝とを他の新しいものに譲ったような隠退した石造の建築物《たてもの》を望んで行った。それほど彼にはまだ旅行者の気分が....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
め、もっと嬉し相に頬笑みて「イヤ三千ポンドは大金です、実は私も取る年齢ゆえ、最早隠退したいと思い、数年来、金子を溜めて居りますが今の三千ポンドで丁度、兼ねての予....
映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
道は二つしかない。すなわち四社連盟以外の会社に就職するか、あるいは五年間映画界を隠退するかである。 五年間というのはこれも協定の条文によって定められたところで....
デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
たが、日本のファンの一般的な趣向と会社の営利主義とに迎合する事が出来ず、映画界を隠退して、一個の自由研究家として静かな生活を送っていた。勤勉で粘強な彼は、一面に....
黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
生れ、初め剛胆な船長として世に知られていたが、のち海上生活を退いてニューヨークに隠退中、その船舶操縦術の手腕を時の植民大臣 Earl of Bellamont ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ことが他人を傷つけるかもしれない遠慮である。この遠慮から人と交わらずに淋しき処に隠退する人があるならば、これはたしかに同情すべき当然の心遣いである。聖フランシス....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
くのところ、女優としては、むしろ例外に属するくらい美人の型からは外れている、もう隠退を伝えられているほどの年でした。なるほど、舞台の才能も才能ですが、その才能が....
戦後合格者」より 著者:坂口安吾
有していなかった。そして彼らが同じころ政策のスローガンにかかげたことはと云えば、隠退蔵物資のテキハツだの遊休大邸宅の解放などと、スパイの中でも三下奴がやるような....
荘子」より 著者:岡本かの子
宜いやら、それよりか先生、何故あなたはお勤めも学問の方もおよしになってこちらへ御隠退なさいましたか、お知らせも下さらないで」 荘子は久し振りで支離遜に逢って嬉....
ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
めながら稚純な勇んだ足どりで先に立って歩いた。ロンドンで曾つて有名だった老女優の隠退後の邸宅が先ず行手に在る。其の黒く塗られた板塀について曲るとだらだら坂になり....
源之助の一生」より 著者:岡本綺堂
で、あってもなくても好いような取扱いを受けていたが、彼は黙って勤めていた。いっそ隠退したらよかろうにと思われたが、やはり舞台に出ていることが好きであるのか、ある....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
の言葉に従えば、「危険きわまる不平」に満ちた心境でいることが諒解されたのだった。隠退か、屈従か、挑戦か――その一つ一つが、他の一つ一つに比べて卑小である。そして....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
さをうとましく思い、追従と暗中飛躍と賄賂とがあまりによく利くのに愛想をつかして、隠退する者が多くあった。彼らはひどい野心もなく、自分のつとめを程よく守り、分相応....
情鬼」より 著者:大倉燁子
しょう? ねえ、だからもう少し待って下さい。云い逃れをするんじゃありません。僕が隠退して、官界を退き自由な身になるまで――』 『自由な身になるとまた何か云い分が....