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隠遁
「隠遁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠遁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
家の人達は、そのようにして文明から截《た》ち切られ、それから二年余りも、今日まで
隠遁《いんとん》を破ろうとはしなかった。が、そうしているうちに、この地峡の中も、....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
もあるらしく退職後はこうして人里はなれた美しい海岸に邸を構えて、どちらかと云えば
隠遁的な静かな生活をしていた謂わば隠居船長なのであるが、永い間の海の暮しが身につ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
らも神経病学と薬理学とで二つの学位をうけたのだが、教授生活には入らず、黙々として
隠遁的な独身生活を始めたものだ。ここで、僕等が何より注目しなければならないのは、....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
され覗かれて、星の数ほどあるアバタの穴をさらけ出してしまった時である。 途端に
隠遁をきめこんで、その夜のうちに鳥居峠の山中に洞窟を見つけこの中にアバタ面を隠し....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
見る影もなく荒れている。 越後国、春日山の城主、上杉謙信の旧家臣、直江|蔵人の
隠遁所である。 今、廃園に佇みながら若い男女が話している。蔵人の娘松虫と、松虫....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
自身も亦此の当然の権利を主張するを陋なりとする風があって、較やもすれば昔の志士や
隠遁家の生活をお手本としておる。 世界の歴史に特筆されべき二大戦役を通過した日....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
恵とはその後において初めて獲得される希望を持ち得るのである。 (一九一五・一〇)
隠遁の心持ちについて 真面目な謙遜な純潔な「こころ」をもって生きてゆく人間の胸....
「成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
に鞭韃されるのでした。 私のこの心持が強くなってくると同時にTの心持はますます
隠遁的になってくるのでした。彼は家の中の、私と母との間のちょっとした感情のこじれ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
。 彼の謙遜的の態度が仲間内には評判がよかったのであるが、それは実のところ彼の
隠遁的の思想から出ているのであった。夜になると、彼は誰からも妨げられることなしに....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
好きで、終日終夜|紙魚のように、文字ばかりに食いついております次第、隠居ぐらし、
隠遁生活、それこそ庭下駄を穿かないこと、二十日間にもわたろうかという、そんな生活....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
は改心をした猿若が、可愛らしいお小姓の姿をして、嬉しそうに雑っていた。栄達を嫌い
隠遁をし、吉利支丹宗徒となった弁才坊も、この日は特に美々しく着飾って、出席したこ....
「荘子」より 著者:岡本かの子
思えた。 しかし麗姫の事に係って来ると、荘子のこころは自然と緊張して来る。彼は
隠遁生活の前、洛邑に棲んで居た頃度々(時には妻の田氏とも一緒に)宴席やその他の場....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
機嫌にも逆らわずに済まされるような道はとうてい見つかりません。ただいまとなっては
隠遁者として余生を送るか、なにかそうした私生活の保証をいただいて退くほかはありま....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
現状破壊の行動者でなく、他人を羨み妬む不平組であることは殆どない。そうした人々が
隠遁を決行するまでには、随分心の準備が必要ではあったろうが、いざ
隠遁すれば、それ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
刻の禅僧といえども、この事を体得しなければ俗人に劣ると言わねばなりません。浮世を
隠遁したり、誘惑を恐れて必死になって逃げようとするなどは仏教の方でも低劣な小乗仏....