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「隣る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隣るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
たてるまでもない。これらの木橋《もくきょう》を有する松江に比して、朱塗りの神橋に隣るべく、醜悪なる鉄のつり橋を架けた日光町民の愚は、誠にわらうべきものがある。 ....
一夜」より 著者:夏目漱石
うて長い袖《そで》が横に靡《なび》く、二人の男は共に床《とこ》の方を見る。香炉に隣る白磁《はくじ》の瓶《へい》には蓮《はす》の花がさしてある。昨日《きのう》の雨....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ず 喇叭も戦を呼ぶ角笛も人の世の外なりし。 未だ都を巡らす堀もなく 人はただ己に隣る世界の外を知らざりき。 檜の船は未だかつて浪路を凌がず、 人は世界の果てを見....
二重心臓」より 著者:夢野久作
て列席後、大森山王×××番地高台に建てられたる同じく分離派風の自宅玄関、応接間に隣る自室に於て夜半まで執務中、デスク前の廻転椅子の中で、平生同氏が机上にて使用し....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
った。 初めての日の夜が来ると、私の窓に添うた廊下を往来する足音も絶え、前後に隣る病室の物音も静まって、私の隣りの空ベッドのあたりが余計|闃として来た、私はキ....
魔都」より 著者:久生十蘭
迎えに参りますでございます」 加十はまた二階へ取って返す。見ると安南王は寝室に隣る食堂の卓前に坐って、今や泰然とウイスキー・ソーダーの杯をあげている様子だから....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
ら野猿の大群が棲んでいた。ところで、この猿の大群を支配するのは、谷川岳のすぐ西に隣る万太郎山の裏側、越後に向かった高い崖に棲む齢も知らぬ老猿である。つまり、上州....
」より 著者:犬田卯
場の二階であるが、大方――いやそんな形式ばったところはいつも使用されず、事務室に隣る十二畳の一部屋が会場になるのである。真ん中に切った炉にはすで瀬戸ひきの鉄瓶が....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
みごとに風になびかせた。数年この方、彼は耕さなかったのである。しかも自己の持地に隣る三反歩の小作田まで一様に死田化して顧みなかったのだ。 水田ばかりではなかっ....
円朝花火」より 著者:正岡容
だから、私と付き合ってくださいね。――表に馬車が待たせてあるんだから」 楽屋に隣る四畳半で、吊洋燈《つりランプ》の灯影に、勅使河原静江と呼ばれるその女は、行儀....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ませたものだとお感じなさい。 堅固な砦があなたを閉じ籠めもしない。 スパルタに隣るアルカジアが、永遠の若さで、 楽の多い世を久しく送らせようと、 わたし共二人....
立春の卵」より 著者:中谷宇吉郎
く》の脚のような役目をして卵をささえるはずである。そうすると卵の「底面積」は、相隣る凸部の三点または四点の占める面積になる。理論的には三角形の頂点の三点でよいは....