隣近所[語句情報] » 隣近所

「隣近所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隣近所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
して見ますと、小屋はどれよりも小さいくらいで、竹の柱も古蓆《ふるむしろ》の屋根も隣近所と変りはございませんが、それでもその屋根の上には、木の枝を組んだ十文字の標....
河童」より 著者:芥川竜之介
ょっとマッグの手を握ると、いきなり戸口へ飛んでいきました。もちろんもうこの時には隣近所の河童が大勢、トックの家の戸口に集まり、珍しそうに家の中をのぞいているので....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
。そこで気を紛《まぎら》せたい一心から、今まで下駄の爪先ばかりへやっていた眼を、隣近所へ挙げて見ると、この電車にもまた不思議があった。――と云うのは、天井の両側....
或る女」より 著者:有島武郎
んでも畳でも爪の立ち歯の立つものにしがみついた。倉地は何よりもその激しい泣き声が隣近所の耳にはいるのを恥じるように背に手をやってなだめようとしてみたけれども、そ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
らしながら小屋の前を行ったり帰ったりした。よその農家でこの凶事があったら少くとも隣近所から二、三人の者が寄り合って、買って出した酒でも飲みちらしながら、何かと話....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
めると、それを抵当に貸し付けた。その金がいつの間にか二千五百円を出る位になった。隣近所でも容赦はせぬと、安二郎は執達吏を差し向けて、銭湯へ出掛けた。万年筆屋が銭....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
知っている喜びであり悲しみであるのだ。ほかの人たちは――君の父上でも、兄妹でも、隣近所の人でも――ただ不思議な子供じみた戯れとよりそれを見ていないのだ。君の考え....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
表現欲を失っていた。感情の表現にはむしろ反語か、遠廻しの象徴の言葉を使った。 「隣近所にお化粧のアラを拾うやつもなくてさばさばしたろう」 これが唯一の、娘も共....
春昼」より 著者:泉鏡花
って、湯をつかいながら、露出しの裸体談話。 そっちと、こっちで、高声でな。尤も隣近所はござらぬ。かけかまいなしで、電話の仮声まじりか何かで、 (やあ、和尚さん....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
に溜って居る塩水の中に、身体を半分浸しながら、かんかんと鉄※を敲き落すのである。隣近所でおろす槌の響は、狭い空洞の中に籠り切って、丁度鳴りはためいて居る大鐘に頭....
黒百合」より 著者:泉鏡花
に畏って、二年級のおさらいをするのが聞える。あれだから母親は本当にしないのだと、隣近所では切歯をしてもどかしがった。 学校は私立だったが、先生はまたなく滝太郎....
フランダースの犬」より 著者:菊池寛
す。 粉挽屋の台所は大へん暖です。炉のなかでは、大きな榾がぱちぱちと赤く燃え、隣近所の人々は、夕飯のために焙った鵞鳥の肉|一片とお酒一ぱいとにありつくために、....
深川女房」より 著者:小栗風葉
行って、お光さんの元の家を訪ねたんだ。すると、とうにもうどこへか行ってしまって、隣近所でも分らないと言うものだから、俺はどんなにガッカリしたか知れやしねえ」 「....
式部小路」より 著者:泉鏡花
やがって!――狐床。」 「その狐が配ったんでさ。あとで蚯蚓にならなかったまでも、隣近所、奴が引越蕎麦を喰った徒は、皆腹形を悪くしたろうではありませんか。 開業....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
る人々を抱いて、じっと静まり返っていた。だが、政枝の家だけは混雑していた。それも隣近所に気付かれないように息を殺しての騒ぎだった。政枝が左手首を剃刀で切って自殺....