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集注
「集注〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
集注の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
感覚が、彼女の心に目ざめて来た。それは誰かが後にいて、じっとその視線を彼女の上に
集注しているような心もちである。
が、寝室の中には彼女のほかに、誰も人のいる理....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
、彼自身が見せびらかさないまでも、殿中《でんちゅう》の注意は、明かに、その煙管に
集注されている観があった。そうして、その
集注されていると云う事を意識するのが斉広....
「或る女」より 著者:有島武郎
子の神経は磁石《じしゃく》に吸い寄せられた砂鉄のように、堅くこの一つの幻像の上に
集注して、車内にあった時と同様な緊張した恐ろしい状態に返った。停車場に近づいた汽....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
戈《ほこ》を交えた日露両国の商業的関係が、日本海を斜めに小樽対ウラジオの一線上に
集注し来らむとする時、予がはからずもこの小樽の人となって日本一の悪道路を駆け廻る....
「弓町より」より 著者:石川啄木
らなかった。のみならず、詩作その事に対する漠然たる空虚の感が、私が心をその一処に
集注することを妨げた。もっとも、そのころ私の考えていた「詩」と、現在考えている「....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
」
無論それ以上は混沌の彼方にあった。法水は必死の精気を凝らしてすべてを伸子に
集注しようとした。かつての「コンスタンス・ケント事件」や「グリーン殺人事件」等の....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
現われて、法水の持つ懐中電燈が目まぐるしい旋回を続けていた。それがようやく一点に
集注されると、ルキーンはアッと叫んでドドドッと走り寄った。半ば開かれた扉の間に、....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
法はない。なんとなれば彼らは深く深く生きてもはや彼らの生活の最大関心は罪の問題に
集注するところまできた。そして享楽したくても不可能な切迫した内容ばかりで生きてい....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、ついに高く鳴りひびいた。 探照灯は、何十条としれず、シクラメン号の後方海面へ
集注せられた。 飛行隊は前進行動を中止して、旋回飛行にうつった。光弾が三つ四つ....
「家庭愛増進術」より 著者:岡本かの子
たくしの同棲者も元来が或る信念の上に立つと従順な人間になり生活意識や情操が一所に
集注するたちと見えます。(それゆえ却ってこの信念を樹立し合わなかった昔はお互いに....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ていたということは、またその渦を狭めるものであって、結局、すべてが「|鷹の城」に
集注されてしまうのだが、そうして、二人はこの短時間のうちに、全身の胆汁を絞り尽し....
「東京文壇に与う」より 著者:織田作之助
な形勢が見えれば、名人位を大阪にもって行かせるなと、全東京方棋師は協力し、全智を
集注して自分に向って来るだろうと、言ったということである。私はこれをきき、そして....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
読者の気分による調和を、目的としているのが普通である。短歌の方は、求心的であり、
集注式の表現を採って居る。だから作物に出て来る拍子は、しなやかでいて弾力がある。....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
。ことに最近該寺建築物の根本的修理が施さるる事となって、一層学界の注目がこの寺に
集注せられ、種々の新発見とともに研究は次第に精緻の域に向って進みつつあるのである....
「娘」より 著者:岡本かの子
上に松浦の艇と自分の艇とが一二メートルずつ競り合っているに過ぎない感じだ。精神の
集注は、彼女を迫った意識の世界へ追い込む。両岸、橋、よその船等、舞台の空幕のよう....