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「雑嚢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雑嚢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
差し掛かった時だ。一行は朝から重い天幕《てんと》だの、写真器械だの、食糧品だの、雑嚢《ざつのう》だのを引担ぎ、既に数里の道をテクテク歩き、流るる汗は滝のごとく、....
さようなら」より 著者:田中英光
みんなの食事をぼんやり眺めさせられるような刑罰を受けた。翌朝、岡田はまた防毒面に雑嚢《ざつのう》をなくしているのを分隊長に発見され、銃床で思いっきり尻ぺたをこづ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ルを着けていました。 * 従軍記者の携帯品は、ピストルのほかに雨具、雑嚢または背嚢、飯盒、水筒、望遠鏡で、通信用具は雑嚢か背嚢に入れるだけですから、....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
立って門内にはいり込んだ。僕も続いてはいろうとすると、かの男は僕の腰につけている雑嚢をつかんで、なにか口早に同じようなことを繰返すのである。僕は無言でその手を振....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
うに疼くのだ。私は、それでもやっと起きあがった。手さぐりで、からだを探ってみると雑嚢がある。なかには、ライターもあり固形アルコールもある。――ああ、この、短い鉛....
トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
雑嚢を肩からかけた勇吉は、日の暮れる時分漸く自分の村近く帰って来た。村と言っても....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
けたのは昔の学友|柳光一という少年であった、柳は黒い制服をきちんと着て肩に草色の雑嚢をかけ、手に長くまいた画用紙を持っていた。かれはいかなるときでもチビ公にあう....
次郎物語」より 著者:下村湖人
、とうとう彼は一計を案じ出した。 翌朝起きるとすぐ、彼は、恭一の学用品を入れた雑嚢を抱えて、こっそり便所に行った。そして、大便をすますついでに、それを壺の中に....
木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
を着て、短いズボンに脚絆草鞋という身軽のいでたちで、肩には学校生徒のような茶色の雑嚢をかけていた。見たところ、御料林を見分に来た県庁のお役人か、悪くいえば地方行....
次郎物語」より 著者:下村湖人
学校道具をおくと、立ったまま、何か思案した。恭一はまだ帰っていないらしく、帽子も雑嚢も見当らなかった。 見るともなく恭一の本立を見ているうちに、次郎の眼はその....
次郎物語」より 著者:下村湖人
のだった。 次郎は、しかし、にこりともしないで自分の席に腰をおろした。そして、雑嚢を机の上に置くと、そのまま頬杖をついて、眼を黒板の方に注いだ。 「どうしたい....
次郎物語」より 著者:下村湖人
をもっていたのである。 次郎は、教室を出るまえに、机の中の自分の持物をのこらず雑嚢にしまいこんだ。それがまたみんなの注目をひいた。彼はその雑嚢を肩にかけると、....
次郎物語」より 著者:下村湖人
景を思いうかべていた。かれは黒の背広に黒の外套を重ねていたが、まず肩にかけていた雑嚢をはずし、それからゆっくりと外套をぬいで、ていねいに頭をさげ、次郎に向かって....
山椒魚」より 著者:岡本綺堂
通していない時分だから、つめ襟の夏服に脚絆、草鞋、鍔の広い麦藁帽をかぶって、肩に雑嚢をかけて、木の枝を折ったステッキを持って、むかしの木曾街道をぶらぶらとたどっ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、それは白い蒲団は両側に整列しているが、足元や枕元には旅行案内、地図、トランク、雑嚢、水筒、ゲエトル、浴衣、洋杖、蝙蝠傘、麦藁帽などがかなりに、ほうりっ放しにな....